heartbreaking.

中年の末路とその記録

実話。―死者と戯れる夜―

昨日の夜は、寂しさに、うつぶせに頭を抱えてたら、うとうと眠くなって……、気がつくと、俺の背後にベッタリと張り付く黒いカタマリの気配がした。首筋から、腰、足の先まで……。大人の男の気配だった。寂しい俺を、慰めてくれるのか、背後からしきりに、俺の中に突っ込もうと強く腰を押し付けてくるのを感じて、俺は動けなくなった。霊でもなんでもイイから、そのまま突っ込んで、犯してくれと…懇願した。奇妙な声が漏れた。自分でも、 「?」 と思うほど、甘ったるい声を出しながら、俺の体は全身硬直して動けなかった。 「…ぁ…っ」 とか自分でも気持ち悪いぐらい甘えた声を出しながら、久々に近くに感じる人の気配に、奇妙な安堵感を感じていた。

ずっと、奇妙な声を出してたと思う。こんなの隣の住人に聞かれたら、いつの間に男を連れ込んだのかと思われそうなくらい。……長いようで短い、けれど俺にとっては、夢のような幸せな時間だった。ずっと、こんな風に誰かに優しく抱きしめられたかった。幻と消えないように、この背後に居る男の気配を逃さないように、俺の思考は、この優しい存在を繋ぎとめることだけを考えていた。……それなのに……、 「ヒィッ……!!!」 っと叫びながら、俺は目を開けた。俺の叫び声を合図に、背後に居たはずの優しい男の気配は霧のように掻き消えていた。今のは、いわゆる金縛り、というヤツだったのだろうか。俺は、なんだかとても寂しい気持ちになった。

こんなに、誰かに抱きしめられたいと願っている、自分が哀れに思えて…… 泣きたい気分だった。ああ、こんな話したら、ますます変な目で見られそうだな....

goo blog funamushi2 - 2005-06-12 13:40:52 コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )