heartbreaking.

中年の末路とその記録

なんだよこいつ

俺が工場勤務で帰って寝るだけの日々だったけど、そんな週末に大阪からわざわざ飛行機で遊びに来てくれるっていうから、疲れた体に鞭打って家からかなり離れた雑貨屋まで出かけてバレンタインチョコの箱と、チョコを流し込む型枠を買ってきた。手作りチョコは初めてだけど、ガーナのブラックチョコをいっぱい買ってきて鍋で煮て型枠に流し込んだ。不慣れなので型枠からチョコが不細工にあふれたけど、疲れていたので、ラップをかけて布団に入って寝た。土曜日の朝、起きて会社に行く前に出来たチョコにカラースプレーをまんべんなくかけて、けして綺麗な見た目ではないけれど、まあまあ見られる形になったかなと一安心して会社に行った。

土曜日に会いに来てくれたとき、手作りのチョコを渡すと、「ありがとう」と独特の大阪弁で笑顔で受け取ってくれたのですごく嬉しかった。…でもずっと不安だった。もしかしたら食べずにごみ箱に捨てたんじゃないか… って。だっていつも俺を試すようなことばかりするし、今日だって、俺の住所を警察に知らせるとか脅してくるし… こんなやつ、絶対俺があげたチョコをごみ箱に捨てたに違いないんだ。一緒に撮ったプリクラだって、こんなキモイ顔の女見たくねーってもうとっくに行方不明になってるに違いないんだ。だからさっきメールで聞いてみた。プリクラは捨てたんでしょ、チョコは食べずに捨てたんでしょ、って。でも戻ってきた返事は、「プリクラはまだあるしチョコはぜんぶたべたよ」だった。ひどいよ、こんな30超えたおばさんに本気の涙を出させるなんて、ひどい男だよ。私は不器用だけど、30年間、男っ気もなく孤独に生きてきた女なんだよ?そんな私に、もうこれ以上わずかでも期待を抱かせるようなことを言わないでくれよ。私が画面の前でニラニラしながらテキトウに文字打ってると思うかい?私はいつでも本気だし必死だよ。こんなおばさんをからかうばかりして、お前は本当にひどい男の子だよ。

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