heartbreaking.

中年の末路とその記録

お互い都合のいいところだけ搾り取ればいい

「俺でいいの?」うん、いいよ。だってずっと狙っていたんだもの…

「お前もかわいそうだよなあ、相手は俺みたいなおじちゃんだぜ?」だから、そんなの気にしないって… 貴方だから選んだんだよ…?

一度目のセックスが終わって汗だくで、テレビを見ている貴方。テレビばかり見ていて、ちっとも私を見てくれない。私はさびしさのあまり泣いてしまった。「…ん?どうした?」困った顔で私の頬を両手で包み込んでくれる。うん、寂しくて… だってこんなに近くにいるのに、貴方が私以外のものに熱中しているのが寂しくて。「馬鹿だなあ、泣くなよ。俺はここに居るだろ」

「ごめん、ごめんな…」優しい笑顔で、思いきり抱きしめて口付けてくれた。うん、こんなに誰かに優しくされたのは初めてだから涙が止まらなくて。

「お前、泣き顔もかわいいなあ…」…そう?じゃあもっといじめてよ…

泣きながらキスをしていると、おちんちんが硬くなっていて驚いた。男って、女の泣き顔で立つの(…?) 優しい言葉と裏腹に、激しい腰使いでいつの間にか涙の出る場所が入れ替わってしまったみたい。両手を合わせて笑顔で跳ねていると、貴方も笑顔になってくれたから嬉しかった。

「今、何時…?」

終わった後、「一緒に居てやれなくてごめんな」と苦笑い。一緒に… か。うん、一緒に抱き合ったまま朝を迎えられるなら… と思うけれど。でも一度でも抱き合って朝を迎えてしまえば、貴方の大事なものは壊れてしまうからそれは出来ない。

いや私は、私の心の奥底は、そんな生ぬるいものは求めちゃいない。私はずっと孤独だった… 

私以外の誰かと交わす「永遠の約束」を嫌悪している。私は自由でありたい。既婚者である男に惹かれたのも、「結婚してくれ」と迫られることはないだろう、相手はこれ以上私の領域には踏み込めないだろうという安心感があるからだ。

私は矛盾だらけだ。自分が欲するものを憎まずにはいられないほど歪みきってしまった。既婚者で子供も居る男と生でセックスしているなんて… ひとりの時間、ふと冷静になったとき、腹の奥底がズーンと重くなる。

「子供が産まれちゃうかも」「中で出してないんだぜ、産まれるわけないだろ」

…本当に、そうかな?

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