heartbreaking.

中年の末路とその記録

ネガティヴな感情

車の中は閉鎖空間なので、ネガティヴな思考は持ち込みたくない。どちらか片方がひとたび、思うまま口を開いたなら、もう片方は逃げることができなくなる。相手の気持ちを一欠けらも考えずに、それを続けたなら、どちらか片方の精神は崩壊してしまうだろう。

私も昔、車の中である人に辛くあたってしまったことがあり、そのときは自分のネガティヴな感情を抑えきれずに車から出るまで続けてしまったので、本当に悪かったと反省している。車の中で二人きりになると、そこでひとたびネガティヴな感情に支配されてしまうと、もう止められないんだ・・・ そんなときもあった。

あれは、スーパーの中で泣き止まない少女を、ただ笑ってみてるだけで、止めもしない男親に怒りが爆発したあとのことだったか・・・ それとも海でのんびりしようとしたときに目の前に停まる車の中で若い男女が口付けをしているのがこの目に飛び込んできたことに対するショックが原因だったのか・・・ その原因は多くありすぎて覚えていない。

・・・あの少女の泣き方は、まるで性的虐待をされているかのようで、私の心臓に埋め込まれた時限爆弾が今度こそ爆発してまわりを傷つけてしまいかねないほど追い詰められた。

いやー!いやー!やーぁぁ!・・・とか、おかしな泣き方をするのは本当にやめてくれ。お前は別に虐待されてるわけでもないだろうに、何をそんなに泣く必要があるのだ。赤子ならまだしも、お前はもう少女ではないか・・・ ええいやめんか、糞ガキが、俺を殺す気か!ブチ殺してやる!私はその少女の父親もろとも、うるさいんじゃがぼけが!殺すぞぼけが!と繰り返し叫んだ。私が何故、叫んでいるか、お前らみたいな屑には永遠にわからないだろう!

今の旦那にはこう言われるのだ。自分が傷つくから、これは配慮してくれ、・・・とかそういうことを言い出したら、キリがない。確かにそうだが、傷つく程度で終わるものならそれでもいい。傷つくだけじゃ済まされない、誰かを致命的なまでに追い詰めてしまうほど罪深い存在もある。ただそこに存在するだけで、私にとっては罪なのだ。どうかわかってくれ、そして私の視界に二度と入ってこないでくれ、私を人殺しにさせないでくれ、私の顔を鬼のように歪ませて、私だけをこれ以上嫌な女にさせないでくれ。私が何故こんなに顔が醜く歪んでしまうかわかるか?それは子連れのお前が俺の前に居るからだよ。お前らの存在自体が俺にとっちゃ罪なんだよ。

私はそれでも現実世界では、言わないよ。特に会社付き合いの人とか、現実に会う人たちに、こんな自分は見せない。だから私の本当の姿を知った人たちは、私を不気味がる、怖れる。私の心を勝手に盗み見ておいて、私だけを悪者にして、自分たちは綺麗なままで居ようとする。私だけを悪者にしておけばそれで満足かい。

相手のネガティヴな感情は、まるで悪い病気のように伝染する。それが広い空間の中でならまだしも、二人しか存在しない世界の中で一方的に発射されても、それはただただ迷惑なだけでしかない。そこを想像できないのが、メンヘラーな女の子なんだなあ・・・ 精神科通ってお薬自慢しちゃうような、病んでるけど顔だけは美人だから男にはかわいがられてお金には困らないような、そんな女とは絶対付き合いたくねえ 意外と腹黒だったりしてな、裏切りに対しては急変して「死ね」とか言いながら、ただ自分がどんだけ傷ついたかだけに拘って、それによって相手がどれだけ傷つくかなんて考えも出来ないような・・・ そんでもって平気で嘘をつく。お前の言うこたぁ全部嘘だろ。

今日は車の中で旦那が急に無言になったので、こんなにネガティヴです。

無言のまま車の中で並んでいるのすら苦痛で、私は一人であてもなくどっかへ旅立ったまま、二度ともう戻ってきたくない気分でした。こんな気分のときに浮気しようなんて思わない、もう何もかも面倒臭くて、わずらわしくて、人間と関わることすら嫌なんだもの。

あてもなく海まで走ったが、一人で見る海は、ただ孤独しか感じず、静かに、二人で居ることの意味を教えられた。

スーパーの駐車場に車をとめて、シートを倒して、眼を閉じた。そのまま二時間近く、車の中でじっと寝て過ごしていた。薄っすらと夢を見た気もするが、あまり印象に残らない薄い夢だった。

右足がしびれている。屋根のついたところで寝れるありがたさに気付いた。結局、今の私の帰る場所は、ひとつしかない。