heartbreaking.

中年の末路とその記録

不安定な精神が同性愛へと逃げ道を求めはじめる…

最近、女性たちに対してムラムラするようなことが多くなり、自分の中で奇妙な変化が起こりつつある…

よく会話する年上の女性が、昼食時にパンを食べるなんでもない横顔に見惚れてボーッとしている。ただパンを食べているだけなのだが、何故か気になり、見てしまうのだ。50歳が近い女性なので流石にシワは多いのだが、若い頃は綺麗だったのだろうなと思わせる端整な顔立ちについ目が奪われてしまうのだ。

年下の同僚が「おはようございます」といつもの笑顔で入ってくる。
彼女は洗濯してきた仕事着を、まるでアパレルショップに飾るようにきっちりと畳んできている、その完璧に畳まれている状態に目が留まる。そして目線は、畳まれた衣服から移動を始め、彼女の体の表面を舐めるように眺めていた(同性なので疑われることもなく存分に眺めることができる)。

けして大きくはなく小ぶりではあるが、凛とした姿勢に前に突き出された胸の隆起に、この心の奥底から沸き立つような・燃え上がるような情念を抱いてしまうこともある… なんなのだこの、どうしようもない気持ち…

単にこの女性のきっちりした部分に惹かれたのか… いや、理由はそれだけではない。

夫と離れて別居状態となり、女性たちとの距離のとり方・そして自分の立ち位置が変わったせいかもしれない…

つまり私は不安定な状態にあるのだ。

いつもそうだった… 同性に対して得体の知れぬ感情を抱くときは、いつも私の精神は不安定な状態だった。

魅力を感じずにはおられない同性たちの、私には欠けている部分を取り込んでしまえたなら… 私はこの渦巻く不安を払拭し、新しい生き物へと変われるような予感がしている。 嗚呼、彼女たちと一体となりたい、そんな怪物めいた底の見えない感情が、この胸の奥で大きく口を開いているときがある。こんなのは、異性に対しては感じることのない、同性に対してしか生み出されない感情だ。

何人かの女性たちに魅力を感じつつも、その中でも、特に可愛い…

と思える女性がいる。まず、声が好みだった。そして通り過ぎるときの香水の匂いが心に焼きついていた… そして冗談を言えば笑ってくれる、その笑顔が作り物ではなくて本物だという自信をいつも与えてくれる、女神のような存在に思えた。

その人はもう40代半ばだが、少し目じりに浮かぶ小ジワすらも魅力でしかない。

でもなぜかずっと独り身のようで不思議でならない。こんな可愛い女性をずっと独り身でいさせるなんて…、世の男共は一体なにをしているのか…

いや、しかし会話をしていると、独り身であることに思わず納得せざるを得ない部分もあり、その女性の中には、小さな「譲れない」拘りが多々ちりばめられて存在していることに気付かされる。その小さな拘りの集まりが、その女性を構成していて、それが今私の目にはとても魅力的に映っているのだから、この一つ一つの拘りをすべてあますことなく噛み砕いた上でこの女性のもつ魅力を愛することのできる・そこまでたどり着くことの出来る男などそうそうはいないだろう、などと思いながら、愚鈍な世の男共に対して奇妙な優越感すら覚えながら、この女性の笑顔を独り占めしている時間がなんだかとても贅沢に思えてならなかった…

嗚呼、何を言っているのか誰もわからないだろうな…