heartbreaking.

中年の末路とその記録

腐女子だった記憶~ウルフウッドの死を乗り越えて

書籍はこのブログのとおりの俺の文章でぼちぼち打ってます。ですがブログも更新せねば、いざ書籍を出すときにまわりをみたら誰もいなかった、なんてことになると悲しすぎるのでなんか打ちます。
俺が過去に腐女子だったとしたら嫌悪しますか。このブログを運営しはじめる直前までは腐女子でした。まあ、女性の多くは根底に腐女子の性質は持ってるんじゃないですか……学生時代に回し読みをした漫画にも、そこはかとなくBL(当時は“やおい”と呼んでいた)風な作品もありましたし。最初はTMネットワークやB'zをネタにしていたような気がします。当時はTMネットワークは女の子たちに大人気でした。しかし、途中でゲームにはまり、その中の登場キャラクターにシフトしてゆきまして、自分はPCエンジンDUO-R派だったので、誰も気付かないカップリングを勝手に想像してました。たとえばエメラルドドラゴンのオストラコンとサオシュヤント(かなり珍しい)、風雲カブキ伝のカブキ団十郎と世阿弥(たぶん珍しい)。やがてメジャーな機種のプレステ1の時代になり、FF7のセフィロスとクラウド(まあ、これはメジャーです)、幻想水滸伝2のジョウイと主人公(これも、まあフツーです)、スターオーシャンセカンドストーリーのアシュトンとクロード(無論、二人のエンディングにたどりつきました)、シャドウハーツ2のウルと蔵人(無理があんだろ)などを通り過ぎたのち、最後にたどり着いたのは、真・女神転生3ノクターンの人修羅総受けでした(氷川総司令×人修羅の小説を、当時ネット上に存在する大半は読んでいたかもしれません……)。
この心は、誰の手も届かぬほど深い場所まで潜り込み、この納得のいかない体を忘れながら、理想的な体を持つキャラクターたちが自然に出会い、口付けを交わし、精神的に傷つけあい、なぐさめあい、そうして最後にはそういうことになる。その一連の流れを毎夜、脳内に丁寧に、緻密に作り出すことで随分と救われていた(なにを言ってるのかよくわからないかもだが)。
今回は、前回よりももっと緻密に想像する、前回を乗り越えろとばかりに毎回さらなる精密さを求めて想像し続けた。もちろん、そこには紙もキーボードもない、頭の隅に散らばる情景を、己の情感で引き寄せながら一度限りの儚い幻のストーリーをこの心の中に映し出す。
キスをするまでの距離も遠い、そんなときもある。ゲームの中ではそんなそぶりも見せない二人が、実は心の中では両想いでしたという想像をしながら瞳を閉じ、黄昏る時間が贅沢で、自分もこの体の檻を抜け出して彼らと心も体も一体となる。そのような時間は、もはやこの世に自分などはどこにもないほどに、己が脳内で描くストーリーに没頭している。
ネットに漂うやおい小説には、「裏」がある。サイト主が、におわせてくる「裏」は徹夜してでも見つけ出さなければならなかった。さらに期間限定公開のやつは、ただちに見つけねばこの命すら危うい。
特に、トライガンマキシマムの同人小説については、当時ネット上に漂っていたほぼすべてをローカル保存していたんだが、ある日、一気にその情熱がこの心の中からこぼれおちる出来事が起きてしまった。ウルフウッドが死んでしまったのだ。「銀牙 -流れ星 銀」の続編「銀牙伝説WEED」でジョンが死んだときに勝るとも劣らぬ絶望だった(とうとう犬にまで触手を伸ばし、ジョン×銀も妄想していた)。なぜ、漫画家の人たちは、あきらかにこのキャラクターはファンが多いだろうとわかっているような主要人物をあえて殺そうとするのか。もっと大事にしてくれとおもった。もしかすっと、腐女子の期待がいつのまにか作者の重荷になっていたのかもしれない。だけど殺すのはやめてくれたほうがよかった。
ヴァッシュの野郎、あんなに愛し合い抱き合っていたのに、土の中に埋めるなんて酷すぎる。しばらくは夢の中で何度も、ウルフウッドは実は生きてましたというストーリーをみた。土の中から掘りおこされていて、GUNG-HO-GUNSの施設の中で改造人間みたいに強化されて復活していて、最後にヴァッシュと対面するという胸揺さぶる展開で、愛し合っているのに殺しあうという、まさに腐女子としては鼻血が成層圏突き抜けるほどの凶悪設定なんスけど、最後にはヴァッシュに殺されてしまいその腕の中で愛されながら死ぬというのを、お願いしたかったです。勿論、最後の対決前にはGUNG-HO-GUNS内にウルフウッドは捕らわれの身なわけですから、レガートやエレンディラの誘惑に耐えつつ(なんせ彼は総受けですからね)。
だけどウルフウッドと一番お似合いなのはミッドバレイだった。でもこの人たち両方受けですからね。やっぱり殺し愛ですね。腐女子が最も歓喜するポイントはここしかない。ウルフウッドは理想の男性像だったな、女に簡単になびかないストイックな雰囲気醸し出してる(オレカノの番外編とか)、常に自己矛盾を抱えていて葛藤する姿とか。
彼にとっては教会が最高の死に場所だったのかもしれないが、おもいだすたびにつらいのだけど、あれ以上の強化設定は無理だったのだろうな。ウルフウッドが死ぬことによって、ショックのあまり、トライガンマキシマムを腐女子な視点ではもう見づらくなってきていた。自分の中から徐々にだが、やおいの世界にがんじがらめにされていた心から鎖がときほぐれてゆくのを感じていた。フォルダ名までいちいち付けてローカル保存していたヴァッシュ×ウルフウッドのネット上に漂う、ほとんど網羅したと言っても過言ではない同人小説を、ある日、削除してしまった(あれ、なんなんだろうなあ、相当な情熱をかけて収集した同人データをある日放り投げてしまうような気分って)。
そんなことがあって、徐々にやおいの世界から抜け出して、現実を見るようになってゆく。その過程で出会ったのがブログというサービスであり、ウルフウッドの死を乗り越えることで、ブログに没頭することができたのかもしれない。もし彼が生きていたならば、もう少し長く、ネット上で、ヴァッシュ×ウルフウッド小説を探し続けたかもしれないし、彼が死んでいないのであればそのカップリングはフォーエヴァーとなり、いつまでも追い続けていたかもしれない。
どこかで夢を見るのをやめて、現実に帰らなければならないのか。何かを失うことで、新しいスタート地点にようやく立つことができる、そんなこともあるのかもしれない。だって私は二つを同時に愛せるほど、器用じゃないから。
はい、昔話ですから忘れてください。以上で終わりです。

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