heartbreaking.

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ストーカー映画の紹介…

今日は、過去に観たストーカー映画を紹介。俺もかつてストーカーでした。どうせ紹介するならマイナーなほうが良いかなと思ったので……

「スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜」 (2011年 スペインの映画)

幸せになる能力が欠如している、男の孤独の中から生まれた異常性を描いた作品。

何故か仕事が長続きしない、中年男が主人公で、アパートの雇われ管理人をしている。

その仕事の中で男は、住人の美女を愛してしまう。

管理人なので毎朝エントランスで住人たちと、挨拶を交わす。一番の目的は美女の反応を確認することのようだが、その笑顔の中に、自分の存在が見つけられない。だから、その笑顔を壊して、自分が望む笑顔に作り変えるまで、ストーカー行為を繰り返すことになる。何故そうするかというと、男が「幸せ」を感じるため。

男の母は、病院で寝たきり状態で、話しかけても返事は返ってこない。その母に彼女(美女) が振り向いてくれないが自分は「最善を尽くしている」という話を、語り聞かせて病室を去る。だが、男と美女は付き合うという段階すら辿り着いていない。男の妄想を、病床の母に語り聞かせている。

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管理人であるから、住人の鍵を扱うことができる。女が仕事から帰宅するより早く、部屋に忍び込み、ベッドの下、人間ひとりが、かろうじて横になれるスペースに仰向けに入り込んで待機する。やがて女が帰宅する。朝、挨拶を交わした管理人の男が、夜はベッドの下から見つめている。その視線の中で着替えをし、下着姿で部屋をうろついている。

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やがて部屋の明かりが消え、女が寝息をたてはじめると、マスクを装着し、ベッドの下から這い出てくる。クロロホルムを布に染み込ませ、寝息をたてる女の鼻と口を覆い、昏睡状態に陥らせる(それらの小道具は、ベッドの下部、マットレスの裏側に装備している)。そこからが、男にとっての真実。映画内では描写が一切ないが、事に及んでいる。そういう想像を楽しめという映画である。

クロロホルムで、相手の命を奪わず、毎回都合よく昏睡状態に陥らせることができるのか、疑問に思ったので、ぐぐってみる。

実際にクロロホルムをかがせて気を失うかと言えば、かなりの高濃度で大量のものを長期間かがせなければ気を失うことはないと思います。サスペンスドラマで気を失わせるシーンは有機化学者には失笑ものです。(密室に大量のクロロホルムを充満させ、長時間掛けて意識を失わせることなら可能性を否みません。)
クロロホルム、または一瞬で眠れる方法について。 - ※先に書いておきます... - Yahoo!知恵袋

この映画では、寝ている人間を寝かし続けるためにクロロホルムを使っている。

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今宵も女を抱いた後、ベッドから起き上がると部屋内を物色する。そして戸棚にある殺虫剤の多さから、女が虫が苦手であることに気付く。愛しているのに、昼間は自分を排除した笑顔であることが許せない、思い知らせてやるとばかりに、後日、ゴキブリの幼虫を部屋の中に仕掛ける。数日後、仕掛けておいたゴキブリが部屋の中で大発生。

さらに、女の携帯電話へ嫌がらせメールを一日中、さらに手紙も継続的に送り続ける。いい加減気付けとばかりに、精神的ダメージを与え続ける。しかし女も警察に相談していたので、アパート内からの発信であることが判明する。

実は過去にこういうことを繰り返してきた、異常者だったということが中盤あたりで判明する。自分の異常性に追い詰められて、仕事が長続きしなかったようだ。

警察に嗅ぎ付けられ、ストーカー行為に没頭するあまり管理人業務を怠り、仕事を解雇される危機が迫ってくる。いよいよ追いつめられてきた。それが殺意へと衝動を突き動かす。女が帰ってくるのを待つ。ノコギリ、太いロープ、そしてナイフを用意して。

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いよいよ殺す、という意気込みで、ベッドの下に潜り込むと、女が戻ってくる。

しかし、いつもと様子が違っていた。軽やかにステップを踏み、勢いよくベッドに乗り上げる女。軋むスプリングの下から見えたものは、女の彼氏の姿だった。ベッドの下に潜伏中の男の存在に気付かぬまま、女が自分以外の男とセックスを開始する。

真上で行われるセックスでマットレスが大きく軋んだせいで、男がベッドの下に装備しているクロロホルムの容器があいて中の液体が男の顔面にふりそそぐ。かなりの量をあびたので、狭いスペースに隠れていることがつらくなり、ベッドの下から這い出てくる。ここがこの作品一番の見せ場である。

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美女の喘ぎ声が頭に響く中、朦朧としながら薄闇の中を、気づかれまいと、ほふく前進で出口へと向かう。顔中汗にまみれながら。

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男は無事、部屋を出ることができるのか、それとも美女の彼氏に見つかってしまうのか。どうなってしまうのかは、機会があれば観てみてください。自分は、結末には納得できなかったけれど、孤独の表現が、ほかの映画にはないと感じたので、妙に記憶に焼きついてしまった(万人にはおすすめしない)。