heartbreaking.

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浮気はいつも最後に虚しくなるだけなので、会社の気になる男と三度も寝たらもう充分だろうと思うことにした。

会社の男性とセックスをした後……普段とは違う下着を万一彼氏に見つけられたらお仕舞いだと思ったので一人でドン・キホーテに寄り、地味な下着を買い、トイレでそれに履き替え自分のマンションに戻ることにした。本当は戻りたくなくて、夜明けまで遠くへ逃げたい気分だった。

あんなにセックスしたいと思っていたのに、その後はなんだか虚しい気分だ。これが二股をかけている状態のせいなのか……余韻に浸れるのは初めて一つになれた後と、二度目に抱かれて安堵した後、三度目はいい加減なことをしている自分を感じるだけで余韻に浸る間もない。会社の男性もいつも別れ際はあまり納得している様子には思えなくて、終わり方がいつも良くない気がしている。どうせお前は彼氏のとこへ帰ってくんだろ!的な感じなのかな。ラブホから出た直後の運転が滅茶苦茶乱暴になっているので、車内に肩や腰を何度かぶつけそうになった。

会社の男性に何度もラブホ代や食事代を払ってもらい不機嫌にさせてないかどうか心配で、一応少しは払うと伝えたのだが全部払ってくれるので、それで彼氏の元へ毎回戻るのってどうなのかと思いつつ。頭の中が最後は殺伐としていた……

マンションに戻り駐車場に車を入れようとしている最中に、暗闇の中を人影がこちらへ向かってくる気がした。幽霊……いや、違う、彼氏だ。

コンコンと私の軽四の窓を叩きながら、「お前、ちょっと話しよう」と言うので、慌てて駐車して外に出ると、「お前がなにしてたかわかってるから……ただ、今まで有難うと伝えようと思って来ただけだから心配するな」怒っている様子ではなくむしろ残念がっているような表情をしているので、とりあえず部屋にあがってもらうことにした。

その前に、私のマンションに来客用の駐車スペースがないので、彼氏の車を近くのコンビニにとめるために、感情を爆発させるように物凄いスピードで目の前を突き抜ける姿を見ながら、茫然としていた。

その後で、別れるのか、どうしたいのかを5時間くらい話し合う過程で、私はいつでもここにいるから会いに来て欲しいと伝えたら、仲直りして元通りになった。彼を大事にしなければならないと反省した。

彼の瞳はいつでも真っすぐに私を見つめているのに、今回の別れ話の最後には、強がっていても、最後に、下唇が細かく震えているのを見逃さなかった。

翌日、仕事中に、昨日の別れ話のときに見たその唇と、そして最後まで私を傷付けない彼の愛情の渦の中で涙が出てきて止まらない時があった。

だから私は、嘘を吐き続けた。そうするしかなかった。他の男に抱かれても、それだけは口にしてはならないと思った。ショートメールを送り電源を切った後でネカフェに行き、一人でドライブをしていたと伝えた。

こんなことになったのは、会社の男性とラブホに行き、セックスをした後に、彼氏が待っているのでそろそろ帰らないとね……的な話をしていたのに、急に「そんなの放っておけ」と投げやりに言い放ってきたので、彼氏に「悪いけど今日は逢えない」メールを送り、その後すぐにスマホの電源切った。嘘を吐いている自分が怖くてたまらなくて……切らずにおれなかった。

最近、会社のその男性からは「俺と付き合うつもりなら」の後に続く様々な条件が出てくるが、付き合おうとは言ってこない。彼氏と別れろとも言わない。私が選べということか。例えばキスをしながら「俺と付き合ってこういうことするなら、煙草はやめなよ……」とか。

こんな時にそんなことを言うなんて、というタイミングでいつも攻めてくるのが、その人の魅力なんだけど、無料動画で素人を犯す前振りのような妖しい雰囲気を作り出すのがとても上手で、直接的ではなく、間接的な言動からセックスが始まっている。腕を広げて包み込まれ、まるで恋人同士のようなことになっているので戸惑っていると、背中に情熱的なキスが無数に降ってくる。別れた夫がしてくれたように、溜息がでるほどの感情が伝わってくるので、心が壊れそうなほど、すべてをゆだねてしまいたくなる。地中深い場所にある幸せの……原石を見つけた気がした。

包み込まれて理性も吹き飛んだ。何も考えられない……ソファから立ち上がり服を脱いでベッドの上に乗り上げると、私のクリトリスが大きめなので……それで攻め甲斐があるらしく、全部搾り取られるほど唇で強く吸い上げられて大きな声を出しながら身をよじっていると、もう限界でこれ以上はおかしくなるからやめて欲しいと思うところでゆっくりとその人のそれが入ってきたので本当に気持ちよくて、中ですぐにイッてしまった。演技ではない、本当の、気持ちいい時に出る自分の声を生まれて初めて聞いたような気がした。

付き合うつもりなのか、まだ諦めるかどうかで迷っているのか、どうしたいのか具体的にはよくわからないのだけど、多分相手も、彼氏付きではどうすればよいのかわからないのだと思う。

今回、私のほうに別れ際に失言があって、それが原因で嫌われてしまったような気もする。連絡がこないので、諦めることにしたのかもしれない。それはそれでいいと思っている。

その男性とセックスはしたいが、彼氏を大事にしたいので、こちらからはもう連絡しないことにした。

以前食事に行った時には、「一緒に暮らしてもいいと思っている」という発言がその人の口から飛び出したこともあるので、あながち遊びだけとは思えなかったのだけど……

中年の口説き文句は「一緒に暮らしたい」が無理がなくてよい……

彼氏にも「お前と一緒に暮らしたい。お前の好きな猫も飼えばいい。お前の部屋も用意する。俺のことが気になって趣味に集中出来ないというなら鍵を付ければいい。俺はお前の趣味の部屋には出入りしないことを約束する」と言われている。

頭の中に浮かんだフレーズは「このままふたりで 夢をそろえて 何げなく暮らさないか」でした。いや、夢をそろえるのは無理ですけど。中年の恋は、お互いに譲れない頑固な部分が、これまでの地盤がもう出来上がっていますから。

以下は、その会社の男性と何故こうなったのか、ここまでの話です。

会社でいつも笑顔で気さくに話しかけてくれる素敵な男性がいました。

私が働いていると、何気なく近付いてきて「だいぶ要領がよくなったね」とか仕事ぶりを褒めてくれたり、必ず一声かけてくれるので「嗚呼この人いいな……なんだか楽しいな」と思っていました。

楽しいな……という気分のままで大事にいつまでも箱の中に仕舞っておくのも素敵だけれど、そっと蓋を開け、中からどんな音色がするのかを知りたい。いつもそう思っているし、そう感じさせる人が何人かいる。

ある日、いつも通りその人が近付いてくると、休日何してるの?時間あるなら今度二人で何か食べに行く?と尋ねてきて急接近になったので、彼氏がいることを言い出せないまま「行きます」と私も笑顔で答えたら、じゃあこれ……と電話番号を裏に書いた名刺を手渡された。帰宅してその名刺をテーブルの上に置いてじっと見つめながら、私は一体いつ電話をすればよいのだろう……と悩み続けていた。

いきなり電話は戸惑うので、ショートメールで、いつ電話したら迷惑でないかを確認した。

ようやくお互いの時間の都合がついて、一度目に逢った日は、その人にとてもよく似合う車の助手席で、あてもなくドライブをし、途中でいくつかのラブホの傍を通り過ぎながら、本音を言葉に出せないでいると、綺麗な夜景が見える場所へ辿り着いていた。誰もいない二人だけの世界にいるのに、素直に抱きしめられない想いを閉じ込めたままで、こんな穢れのない遊びで満足するほど純ではないのに、何故、なにもしないのか、それを何度も夜空に問うた。

帰宅して、がっくりしている自分が、二人で過ごしたなにも起こらなかった出来事の悲しみの中にいつまでも取り残されているような気分だった。

自分が焦りすぎているのはわかっているのだが、完全に脈なしだと判断してしまっていた。もうその人のことは諦めようと思った。

でも、同じ会社にいるので、会うとやはり気になり、一応周囲のことも気にしながら、少しだけ話をしていると、また逢うような約束をしていた。

待ち合わせの場所に行くと、いつもその人は笑顔もなく普通の表情で運転席にいる。会社を離れると雰囲気違う。何を考えているのかわからない、そこが怖いような、格好いいような……

助手席に乗り込むと、何処かでくつろいで話をしたい、何処がいい?嗚呼そういえばこの先に〇〇ってラブホが確かあったと思う……的な話の流れで、迷いなく入っていった。ベッドの上で、彼氏がいるかどうかを尋ねた後で、いると答えたのに、その事実をねじ伏せるようにセックスをしてきたので、ますますその人のことがわからなくなっていた。

悪い男は好き……奪われたい、強引に……

それで、会社の人とラブホへ行ってセックスをしたのは三回……彼氏いるのできみの部屋には行けないし、俺の部屋も散らかっている。もしきみの部屋に行けば彼氏と鉢合わせするかもしれない。そうなると俺も歳だし対処出来る体力はないから行くのはやめておく……というので、彼氏と別れない限り、逢いにくることはないのだろう。
何処へ行く?と車の中で問われた。必ず毎回、聞いてくる。
行きたい場所なんて決まっている。言わなくてもわかっている……好きだから、セックスをしたい。

そんな日がまたあるのだろうか、ないのだろうか。いずれにせよこちらからは連絡しないほうがいいと思っている。会社の気になる男と三回も寝たらもう充分だろう。