heartbreaking.

中年の末路とその記録

逢う約束に対する返信が「いいけど」だった時点で大分諦めがついている。(長いので別に読まなくてもいい……)

会社の男性に抱かれる中めくるめく快感を味わい、そのことで地球上の人類の中では一番愛している。その人のことを考えすぎて、何度も疲れたけれど、それでもやめられなくて、抜け殻のまま地上を彷徨っている。

久しぶりに社内で会えた時、「元気だった……?」と笑顔で近付いてきたので、苦しみ続けている事実を隠し、「元気です」と嘘を吐いた。社内恋愛すると、こんな苦い想いと、誘惑が同居する場面に遭遇するので、諦めきれない。

無理だ……自分の気持ちに嘘吐けない。

夢の中に時折現れる永遠の女神に束の間癒されたと思って目が覚めたら、癒しもなにもない現実の中に放り出されていた。戻してくれ、夢の世界の苦しみもなにもかも必ず終わりがあるんだ、だけどこの現実の苦しみは終わりが見えない。

はっきりとした答えを聞きたい。もう無理なのか、まだ可能性があるのか。放ったらかしにされたままで、様々な感情を使い果たした。最後にとんでもなく無気力な自分な残るだけ。そこにはなんの音もいらない。消えてしまいそうになる。

だから休憩時間に、相手に負担をかけないようなショートメールを送ってみた。焦っていたので、「また逢いたいです」を間違って「また遊びたいです」と打ってしまったのはマズかったか?と後で気付いたけど、これでシカトされたら諦めるつもりで送信した。諦められるかどうかは実際そうなってみないとわからない。

なにもせずこのまま自然消滅して後悔するより、いま出来ることをしたい。だって人生一度しかないから後悔ないように行動するんだ……

望まぬ言葉にどんなに傷付けられても構わない。可能性がないのに期待し続けているよりも、終わりを告げられ心が病んでいたほうが、まだこの先も続く人生の自分なりの答えに少しは近付いてゆける気がしている。望む恋手に入らないまま、会社でも滑稽なままで、何処までも道化師のままで人生終わるなら、一体どの地点でこんな自分が形成されたのか。気付いているけど、いまさら時計の針を戻せず、このまま突き進むしかない……

次の休憩時間またスマホを見て、最初、なにも反応がないように感じたので、ガン無視か……いまこの世で一番愛しているけど……あまりしつこくするのも、自分が情けないような気がして、もういい諦めようと、いつもより多くなっている独り言の中で腑に落ちる場所を探した。

自分を守るために。……時を忘れ見つめ合っていた日々はなんだったのだろう。一緒に暮らしてもいいと言ってくれた。そんな夢みたいな世界に行けるのなら行きたい。……まだ好きでいてくれるなら返信が来ているはず。念のためよく見てみると、送った後すぐに返信がきていた。恋愛情報サイトを、この人と恋愛してから片っ端から読んでいるが、返信が比較的すぐにくるのはまだ自分を好きでいてくれる証明だと思いたい。しかし恋愛情報サイトがネットに多く存在しすぎているので、やがては量産された劣化コピーのように感じられた。

ようやく届いた返信はというと、「いいけど、そちらは大丈夫なんですか?」で、その「いいけど」ってなんなんだろうな、あまりぬか喜びできない、どうしても気がかりな「いいけど」の「けど」に、これまで連絡がなかった理由が詰め込まれている気がした。思わず「いいけど、ってなんなんだ……」と繰り返していた。障害となる問題(私に彼氏がいること)を取り除かねばこれ以上逢うのは難しいのかもしれない。相手も自分も、ただの遊び人なのか、真面目なのかよくわからない。はっきり付き合うと言ってくれれば、私のほうは彼氏と春までに別れることも考えながらずっと様子を見ていた。それとも、お前とは趣味が合わないので一緒にいても盛り上がらない、もう無理しなくていい、ということなのか。そういえば以前、別れ際に「笑いのツボが合わない」と零していた……確かに、趣味はまるで合っていない。その人は邦画や日本のドラマが好きで、私は洋画しか観ない。音楽の趣味も正反対で、その人の好きな日本のアーティストの歌をスマホで聴かされている間中、反応に困った。共通点は猫が好きということだけか……体の相性はいいと私は感じているが、ただそれだけでは生涯を共に過ごすことは難しいのかもしれない、本当はとっくに気付いていた。お互いバツイチだが相手は養育費を払い終えた子供が何人かいて、今後子供を作るのは不可能なようなので、もしかしたら、食事をしている時に私が「子供を作らなかったことだけは後悔している」と零したことを覚えているのかもしれない。自分がその人を幸せだと感じさせるために必要なことをしてあげられないと知った時、私ならかなり躊躇う……そんな中で気持ちが徐々にさめていったことも想像できる。別れる結末の見えている恋愛に割く時間が無駄だと思うかどうかは、その一瞬一瞬を大切に出来るかどうかにかかっていると思う。

とりあえず、そのショートメールのやり取りで今度逢う約束をした。で、その約束の日はなんと、体調不良でキャンセルくらったので、もう無理なんだろうなと、憔悴しきっていた。年明けは年末年始の疲労感が蓄積してくる頃で、私もかなり疲れが来ているので、体調不良なのは事実かもしれない。また逢えるのを楽しみにしていますと返してスマホを置いた後でぐったりとしていた。

終わったのか、それともまだ続きがあるのか……考えを逸らしたいのだけど、それも難しくて起きている間中、1秒の中にも何憶もの言葉を越えた愛を抱えたままで、願いが叶うなら、もう一度……貴方に触れたい。

欲しいものほど手に入らない難しさ、虚しさを感じている。もうこれ以上苦しみたくない。

抱き合ってしまったのが間違いだった。もうあれを超える男には死ぬまで逢えない……

貴方に逢えるたった一日を追い求めこの地上を彷徨う、長い、長い旅になるかもしれない。そんな旅に私は出た。元居た場所はすべて意味を失くしている。感動も薄く、二人が一つになれた時間を越えられるものなどなにもない。光を放つのは、貴方の腕の中だけで、それがあと何度あるのか、もう二度とないのかよりも大事な問題など何一つ存在しない……だから私は抜け殻なんだ。

本気の恋は、本能が感じる、体が感じる、オーラで感じる。その障壁になるのが、言葉と、物質的に存在している世界。過去は、今に集中すれば、乗り越えてゆけると信じているのに、経験の数が、無邪気な恋愛を遠ざけて、束の間の幸せ感を自分でごみ箱に捨てながら、一人の闇の中に戻るが以前ほど安堵出来ない。こんな自由などいらない……

私が鋭い牙と爪を持つ美しい獣なら、貴方を逃げられないように捕まえあの甘美な世界を永遠へと変えるために駆け出している……