heartbreaking.

中年の末路とその記録

隣の住人を追い出した(これで2組目)

最近隣の住人(若いやつ)が出て行った。何故わかるのかというと、昼間荷物を運び出す音がしていたのと、共用通路に家具を引きずった砂跡が露骨に残っていたので。

俺は1か月前、隣の住人に「いますぐ出て行け!」とは言ったが、まさか本当に出て行くとは……

それほどまでに大声で怒鳴る中年が怖かったか?

本気でキレてる人間てのは、キレられてる人間にとっては相当怖いのかもしれないな。

相手に恐怖を与える時に注意することがあって、相手には直接会わないってことかな。

会わないほうが、かえって不気味さが増す。想像力がどこまでも働くから、やがてそいつの頭の中では悪いことばかりが繋がっていって自然とどうしようもないところまで追い詰められてくれるので、一発恐怖を与えておいて、流れに乗ってきたら後はちょいちょいそれを後押しするだけでよい。

というわけで最近、隣の部屋の内装工事が始まっているらしく、昼間かなりうるさくなっている。それはそれで迷惑だ(いや追い出したのは俺だが、その後の工事のことまでは考えていなかった)。

俺は夜勤なので、昼間、内装工事をするなら最初に一言断りが欲しい。それが筋じゃないのか……筋を通せよ。

全然寝れんので、しゃーなく起きて壁越しにこう言ってやった。

「うるさいんやが!そこらへんの暇な主婦とちゃうぞこら!お前だって寝とる時にうるさくされたら怒るやろが!どうせ8時間くらいしか働いとらへんのやろ!こっちは12時間働いとんのじゃ!ええ加減にせえよこら!」

これを繰り返し言っているとそのうち内装工事が静かになって軽トラがブイーンと出て行く音がしていたので、俺は夜勤前になんとか1時間くらいは寝ることが出来た。

なんで夜勤の時給が高いんだと思ってるんだ?昼間の騒音を我慢するかわりに時給が高いわけじゃないんだよ、体に悪いからですよ……

だから俺達は昼間は寝なくちゃならないんですよ。それを寝させないとはどういうことだ。夜勤で働いている人間がいるから世の中が回っている。俺達は昼間の人達が快適な生活を送れるようにその準備をしている大切な役割なんだ、そのことを忘れるな。

そういえば隣の住人が出て行く前、おかしな兆候があった。

休日の朝、俺がベランダの戸を開けると隣から「うああああああーー!」って発狂した男の声が聞こえてきたこともある。

それからしばらく隣から人の気配がまるでしないような日が続いて、俺の部屋にたまにこれまで見たことない小さな虫が出るようになっていたので隣の住人は死んでいると思うことにして、その虫をトイレットペーパーで毎日必ず一匹は潰してトイレに流して、静かな生活を取り戻していた。

それが、一か月ほど前の平日の昼間に、また彼女を連れてきたようで、その彼女の甲高い笑い声がうるさくて夜勤前に思いきり眠れなくなる。

俺はカッター持って部屋を出て隣のドア前に向かい、何度もドアノブをガチャガチャとした後、ドアポストの部分の開閉を繰り返したり、中から人の声がするかどうかを確認したりしていた。その後部屋に戻り何度も壁を蹴りながら「いつまでおる気や!もう迷惑かけるなら出て行けや!」と喉が千切れんばかりに怒鳴り続けて、その日の夜勤は喉がヒーヒーしてた。

嗚呼これが、ゆとり世代か……俺の中学生時代は先生が平気で生徒に暴力ふるってたけど、今はそれが大問題になる時代だからあまり言い返さないのか、耐性がまったくないんだろうな。

あんまり過保護にしすぎると世の中ナメきった若造ばかりが増える一方だからここは一発俺達古い人間がビシイッといわしめたらなあかんのやないんかい。