heartbreaking.

中年の末路とその記録

THE STORY of BALLAD - CHAGE&ASKA

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ザ・ストーリー・オブ・バラード チャゲ&飛鳥
―THE STORY of BALLAD CHAGE&ASKA―
2004.11.03
YCCR-10001

自分は、この時代のチャゲアスが一番好きでした。人間の心の奥底にある、消えかけた灯火を、そっと揺らすような儚さ、切なさ溢れる名曲が揃っています。是非、聞いてみてください。このアルバムの中には 「死」 という言葉が二度出てきます[この2曲は 「Energy」 というアルバムに収録されてます]。あえて、マイナス的要素をとり入れることで、他には無い異彩ぶりを発揮するこのアルバムは、安易なバラードとして片付けるには勿体無い底深さを感じます。お奨めです。

『天気予報の恋人 (01)』
―どんなふうに 君を閉じ込めても… 伝えたい言葉は "ひとつの繰り返し"―
学生時代、ラジオのカウントダウン番組で、ノイズ混じりに流れてくる。そんなありふれたシュチュエーションでこの曲を聞いた。油断した心の隙間から、そっと忍び込むような…そんな狡賢いような悪戯心溢れるラブソング。

『レノンのミスキャスト (03)』
―輝いたのは75日 あとは静かに 愛に疲れる……―
チャゲさんの、女性的匂いの色濃く漂う歌声に、よく似合う。セピア色の異国の片隅で語られる、ひとつの愛と、悲しいニュース。交錯する切ない女心に、いつしか強く惹かれる自分に気付くでしょう。男性アーティストが歌って此処まで違和感なく、しっくり収まる女性視点から見たラブソングは他に無い。

『迷宮のレプリキャント (04)』
―あの日の靴音 赤茶けたレンガの街 愛した人さえ 心のレプリキャント―
孤独と幻想が入り混じり、心の迷宮で彷徨い続ける。霧のように漂うメロディーが去りし後は、降り注ぐ雨のようなバックのメロディーが、飛鳥さんの甘い歌声と混じりあい、濃密な霧の世界を作り出す。やがて外界から隔絶された、完全な霧の世界に閉じ込められたような錯覚すら感じるだろう。こんな幻想的な歌詞を書ける人は、飛鳥さんしか存在しないでしょう。 この曲には心霊現象があるそうなんですよ……。何か声が入ってるらしいので真夜中には聞けませんね。

『風のライオン (07)』
―秘密が増えれば 臆病になり 笑顔の数さえ 心に重いだけの 飾り…―
少年時代、血気盛んな日々は、力まかせで捻じ伏せた。それはライオンのような威風堂々ぶりで。けれど、いつしか色あせた過去に想いを馳せる日々が訪れる。それは、タテガミの痛んだライオンが、群れから離れ静かに佇むような孤独味を帯びて……。駆け抜けた日々に振り返らず作った秘密すら、今では偽者の笑顔を作るだけの切なさでしかない。今にも、大地に倒れこんでしまいそうな、気だるげな歌声が、後半の―いつか 走り出す― で力強く変わるとき、わずかな希望を感じる。とても素敵な歌です。私はこの歌が大好きです。

『Far Away (09)』
―紅い爪を 夜の真ん中で切る… 月の輪より 丸い円を描いた―
黒髪の女性に、強く心惹かれる男の胸の奥底に眠る―『狂気』―愛するほどに、死に近付く。せめて、僕が正気でいられる内に、キミを抱いていたい。言葉の後の語尾が"力強く延びる"。この力強さに、明確な意思で、破滅へと向かう男の狂気を感じられるだろう。

『心のボール (12)』
―安らぎは 故郷の空… 跳ねてゆく心のボール 確かめて…―
飛鳥さんが、徳永英明さんのために書いた曲ですね。ラジオでそう言ってたのを覚えてる。

『WALK (07)』
―キミを失うと 僕の全ては止まる いつも側にいて 勇気付けて―
プロモでだんだんコッチに歩いてくる二人の姿が、目に浮かぶね。

自分は、「SAY YES」 のASKAさんの歌い方より、 「Trip」のようなロマンチックさや、「太陽と埃の中で」の掠れ気味の声を振り絞る力強さの方が好きです。....このアルバムの頃は、ロマンチックな歌い方が多いから特に想い出深い。

goo blog funamushi2 - 2005-05-18 21:10:33 コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )