heartbreaking.

中年の末路とその記録

普通にはなりたくない

私は風俗で勤めることに対する自分自身への・そしてお客さんに対して毎回感じるプレッシャーに押しつぶされそうだった。すべての不安を、彼と別れることで振り切り、そうして無になって風俗を続けるつもりでいた。彼さえいなければ、風俗で働くことにここまで追い詰められたりはしないはず。意味がないまま空っぽのままでも、金さえ握っていればそれなりに気楽に生きてけると思っていた。私に、意味を与えようとする彼を何度も怨んだ。空っぽのままでも、両手を思いきり広げ地の底に広がる淀んだ空をはばたける自由があった。私には風俗が合っているのかもしれない。

たった一度きりの人生、どうせならレールから思いっきり外れた生き方をしてみたい。ありきたりな人生?結婚して、子供を産んで・・・ それも少し憧れるけど、でも当たり前すぎて、そこに収まった時点で自分の眠れる才能が殺されてしまうんじゃないか、って怖くなる。・・・自分だけは、特別だと思っている。だから何か大きなことをやり遂げるんじゃないか、って野望は胸の奥底にいつでも秘めてある。これが死んだら、俺が俺でなくなる。これはとてつもなく大事なものなんだ。

他人の前ではどんなに卑屈であっても、俺の心の奥底はいつでも拳を握り締め、この野心が外の世界で爆発する日を、その瞬間だけを夢見て生きている。生き続けてきたはずなんだ。このかたちになりきらない憎悪が、将来とてつもなく大きなことをしでかすんじゃないか、って。そんな物騒な野望を燃料にして、卑屈なふりで人ごみに紛れて生きる・・・ まだ、普通に紛れるのはもう少し先でもいいんじゃないか。

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