heartbreaking.

中年の末路とその記録

恋人たちの邪魔をしない

外側からは見えなくても、それぞれのカップルに、それぞれのドラマがあったわけで、そういった二人で体験してきた数々のドラマを、外側の人間が壊す権利などないんだなと、自分が恋愛できる身になりようやくわかってきた。

たとえば、自分のことは外側の人間に少々悪くいわれても構わないと思う面もある。でも自分の大事な人、特に恋人について悪く言われるのは許せないと思う気持ちは、汲んでやりたいところだ。それは二人だけの大切なドラマを、他人に壊されたくない気持ちや、恋人のことを他人には悪く言われたくないんだと、それだけその人のことを真剣に愛している証拠でもあるからだ。私はその気持ちは大事にしてやりたいと思う。

恋人同士の間で、お互いの愚かな面や至らない面を言い合うのも、また他人に対して、自分の恋人はこんな馬鹿な面があるとか言ってしまうのも、それは自分がその恋愛ドラマの当事者だから構わない。でも案外、他人からすれば、嗚呼この人は自分の恋人をこんなふうに悪くも言えるんだなあという記憶ばかりが先にたって、じゃあ俺もこの人の恋人のことを同じような目で見てもいいってことだよな?と思ってしまう。

自分の大事な恋人を、他人に、軽く見せたくないのなら、常日頃からうっかりでも自分の恋人の悪口は言わないことだ。それが貴方の恋人の価値を下げることになる。そして同時に貴方の価値も下げているのだ。

私は、以前は知らなかったんだ。どこにでいるような平凡な恋人たちであっても、こんなふうに、まるで小さな恋愛ドラマのような体験が日々繰り返されているなんて。いや現実は、ドラマなんかよりもっとドラマチックだった。その経験を、世の中に当たり前のように存在するすべての恋人たちが体験していると想像すると、どんなカップルであっても、その二人の間の仲を邪魔するようなことはあってはならないんだなあ・・・ とようやくわかってきた。勿論、誰かの恋人を、他人である自分が悪く言うこともあってはならないことなのだ。