heartbreaking.

中年の末路とその記録

別居でも、いつかやり直す考えもあるのなら遠くに暮らさないほうがよい

来月中に、引っ越す予定です。

上階の足音に悩まされるのは嫌なので最上階へ引っ越しますが、騒音以外にも自分自身に対する悩みがあるので(仕事と円形脱毛症と、自分の性格が変えられないこと)、とにかく今の状況を変えたい!という気持ちが後押ししてくれました。
また、今住んでいるところは、親しい人がまったくいない地域なので孤独すぎました。

というわけでただ今、引越しに向けて、断捨離中です。金になるものは何もありません…(売ろうか迷ったのは主に漫画…) 初期費用含めてざっと20万ほど必要なので、引越した先でしばらくの間は節約生活を送ることになりそうです…… それでも私は引っ越したい、どうしても、今でなければ駄目で手遅れなのです。
…自分は、今のまま変われないのではないか?という不安をこの場所に捨て、また新たな場所に住むことで新しい自分を築いてゆく。飽きやすく・わがままで、納得のいく自分で生きることができる日まで、こんなことを繰り返すのだろうか……

なんで、知り合いが一人もいないところに来てしまったのだろうか… 一人になりたくて仕方のないときは、どこへ行っても新たな出会いはあると根拠のない期待感をもっていました。孤独になる未来への恐怖心など想像もできぬほど、ただ自由になれたことがうれしかった…
仕事を通じて知り合える人はいたけれど、それが熟して本物になれる可能性は奇跡だということは、契約で働いているとよくわかります… たとえば「ご飯食べに行こうね」と交わされる「約束」のほとんどは実現されることはありませんが、それに安堵している自分もいるので、歳をとるにつれ波長の合う人が見つかりにくくなっています。

孤独が好きだと信じていたけれど、孤立無縁の地域に1年暮らしてみると…… 本当は親しい人との交流を必要としていることに気がつきました。私には、私のことを知る親友と呼べる人たちの存在が必要だったのです…

実家へ帰ると最近、父は元気がありません、その理由は、親しい人が老いて次々と亡くなっているからです。
自分のことを知る人がいない状況は、じわじわと身にこたえます… だから、そうした人たちがまだ生きているのならば、わざわざ離れたりせずに、少しでも近くにいたほうが自分のためにも良いと思うのです…

あまりにも休日が退屈で、テレビを見てチューハイ飲むくらいしかない… 親しい人が近くにいたならば、おいしいものを食べに行けるのに。嗚呼、本当につまらない… 

だから親しい人の多い地域へと引っ越すことにしたのです。騒音の悩みも解決するし、一石二鳥です。
人生は一度きりなので、今の自分が停滞しているように感じたなら、環境を何度でも変えてみればいいんじゃないかな… お金はかかりますが…、お金は働けば解決する。駄目なら借金すればいい、だけど行動を起こせるのは生きている間だけです。明日、交通事故で死ぬかもしれない、なら今決めて、後悔のないように「選択」を…

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別居中の夫と、かなり離れたところに暮らしているので、なかなか会うこともできずに、あっという間に1年の月日は流れました。

最初の頃は、新鮮さがあったので、夫もがんばって遠くまで遊びに来てくれましたが、やはり移動距離が長いとそれだけで毎回会うことが億劫になってくるものです…

やがては、やり直したい… 老夫婦が仲良く散歩する姿に憧れているし、自分もそうなりたいのなら、なるべく近くで別居生活を送るほうが、将来お互いがやり直しやすいと思います… 近くに住んでいたんじゃ何のための別居かわからない!と、離れたくて仕方がない時期は思うもので、勢いで遠く離れた地へ行ってしまう場合もあるでしょうが(私もそうでした)、孤独の中で月日が流れるほどに遠く離れてしまったことを悔いることが増えてきます…

別居しても、私は竹内まりやの「シングルアゲイン」や「告白」の歌詞のように、心の中で女々しく引きずっているような、そんな女ではない…… そう思っていたのに、本当は同じで、過去の思い出を胸の奥深い場所に、大事に抱きしめ続けている… ふとした拍子にそれが沸き起こる瞬間は、たとえば会社帰りの道のりでも、目の中にじわりと涙がたまっていて、そうして… ただ、優しく抱いてほしい、そうしてもう一度、キスをしたいと思う… いや、してほしい。

優しいまばゆい光の中で、笑顔でいたころの二人の姿がキラキラとても綺麗で、その光がこの体全体を包み込むような錯覚の中では、すべての疑問は意味を成さない。ただ… あなたの傍にいたい… ただ、それだけでいい。

歳をとると、若いころのように誰かが追いかけてきて「ご飯食べにいきませんか」と誘いかけてくることもなくなり…(さりげないモテ自慢に反吐が出ますね)、…自分がなにもしなければ、なにも起こりはしないのに、年齢で拒絶されることが怖くて本当になにも出来なくなってしまう… 本当は待っている、けれど望む出会いはいつまで待っても訪れない。

たまには会話がはずむこともあるけれど…、調子に乗っておしゃべりになりすぎて、若いころと同じノリのままで話せば、その瞬間に相手の表情に「どうでもいい」感情が走ったり、怒りをにじませていることもあるので… あ、もう、こんな若い子みたいな発言したら気持ち悪いんだなって悲しく思うことが増えてくる。

自分が歳をとって誰にも相手にされないから、だからこんな自分でも受け入れてくれるだろうという甘えで、一度は終わりにしようとしたあなたを追い始めたわけじゃない…… それも少しあるのかもしれないけれど、それは些細な問題に過ぎなくて、ただ、あなたが私の想像以上に大事な存在だと今頃になって気付いたから、私はこれからはもう少し優しくなれるし、あなたの笑顔をとりもどせるのならもう少し努力もしたい。

だけど…… 別居に至るには、やはりそれなりの理由があったのだから、すぐに一緒に暮らし始めると、きっとまた上手くはいかないことも出てくるはず… 一人の生活に慣れてしまった今なら、なおさら窮屈で不便に感じるだろうから…

だから焦らないで、少しずつ、大切に形を取り戻してゆきたい… 最初は恋人からはじめよう… だから私はあなたの暮らす街の近くへ引っ越します。

そのことを伝えたとき、あなたが、久しぶりにご飯でも食べにいかない?というメールをくれたから、すごくうれしくて胸の中がしあわせでいっぱいになった。そして、そんな些細なことですら泣きそうになるなんて… 私はやっぱりあなたのことが、好きなのかな…