heartbreaking.

中年の末路とその記録

子供を産んでいなくて、胸もすごく小さいのに、この世に存在していてごめんなさい。

近いうちに、とある男性と会う約束をしたのに、単純に、そのことで浮かれてはいられない。

何故かというと、自分の容姿が、耐えられない。

特に、胸が小さすぎて、鏡の前で、消えてしまいそうになる……

なんの冗談だと言いたくなるほどに小さい。

たとえるならば、発達過程にある小学生の胸かと問いたくなるほどに小さい。

誰かが誰かの胸を大きいと言って褒めていたりするのを見ると、つらくなる。

もともと恵まれた体の特徴を褒めるのは、そうはなれなかった人の心を傷付けている……

一人になる時間、言葉が頭の中でぐるぐる回りだす。……あれは、私に対する否定だったのか。

胸が小さいのに、存在していてごめんなさい。

私なんて、存在する意味ないですよね。

恥ずかしいとか、演技などではなく、本当に見せたくない胸を、男に見せることになるかもしれないことが、重すぎる。

自分は、女としての魅力に欠けている。胸がものすごく小さいから、どうせ男に飽きられて捨てられる存在でしかない。

もう、妙なことは何もしなくて、ただ会って話すだけでいいんじゃないかと思ったり……

単純に、会ってみたいと思った、それだけ。小さな好奇心というか。

別に、抱かれるのはなんてことはない。好きなだけ抱けばいい。

抱かれることは軽くても、胸を見られることはとても重い。重すぎる。

胸を見せたときに、言葉では大丈夫のようなことを言われていても、心の中ではガックリされていたり、終わったあとで誰かに、私の胸がとても残念だったことを言われたりしたら……

男なんか全員、嫌いだと思ってしまう時もある。

そんな悪い想像だけで、まだ、その人に会ってもいないのに、信用しないほうがいいと思ってしまったり……

言葉なんて信用できない。

服を脱いだときの、特に私の胸を見たときの、男の反応の仕方でわかる。

胸が普通か、あるいは大きな女性であれば、ブラジャーのホックを外されるのを恥ずかしがるそぶりをしても、内心では、どうぞ私を見て、という自信に溢れているのだろうな。

男は、大きな胸に夢中になるから、セックスも心から楽しめるし、笑われることもなくて羨ましい……

……なんの取柄もなく、ただ生きてるだけの私を、人として扱うから無理がある。私の心はおぞましい化け物。

何故、子供もいなくて、胸もない、存在価値のない私を、物理的に殺してくれないのだろうか、

誰も殺してくれないのなら、私がこの手で、カタチを失うほど強く抱きしめて、そうして、消えてしまいたい。

どこへ逃げ込んでも、女性たちは、自分の子供の話か、もしくは胸の話ばかりをしている……私には子供がいない。それをわかっていて、それでも子供の話をしてくるのは何故。

いっそのこと、酷い言葉を浴びせてほしい、面と向かって。

男に会うことになったので、毎日、胸が気になる。

鏡に、自分の胸を映すたびに、イライラする。

胸が小さい……小さくても乳首が綺麗なら、見せても構わない……だけど乳輪の毛穴が結構目立つ。そういう些細な醜さすら、許せない。

毛穴は美容外科で除去できるのだけど、そこまでしても今後、そんなに男漁りをするわけでもないので意味がない。

それに、もう40歳なので、そもそも需要がない。

AV女優の綺麗に揺れる胸を見たり、同僚の大きな胸を見るたびに、胸が小さな自分は「意味がない」と思ってしまう。

20年ほど前に、豊胸手術をして、結局うまくいかなくて抜去手術でインプラントを体内から出したけど、その時に、諦めたはずだった。自分はどう足掻いても、胸が大きくて魅力的な女性にはなれない。