仕事の帰り道、草木や鳥たちを見つめている。
うなだれるような気分のときにも、彼らはただ「生きていていいんだよ」と、そう教えてくれる。何度、元気付けられたか。
言葉のない世界が、言葉で埋め尽くされた人間たちの苦悩から解放させてくれる唯一の安らぎであり、人間以外の、言葉を持たぬありとあらゆる自然界の生命たちに届けたい言葉。ありがとう。
自然の摂理ではない、偽造された摂理の中で生かされる、汚物まみれの世の中であえいでる人間のかたちをした化け物共の群れ。その中で共存してゆくという罰ゲーム。
世間の正しいと思われることが、私にとっては正しくない。だから、まるで麻薬中毒患者のように、自分の心を麻痺させてしまっている。
根本的に価値観が違う。たとえば子供に対する考え方。
子供を好きなのが当たり前という身勝手な同調圧力によって、口をつぐむ膨大な時間の中で、この精神の中に蠢く怪物が、物欲しげに、きらきらと輝く飴細工を眺めていた。この舌先が触れるとき、お前らのかけがえのない愛の結晶は、お前ら自身が作り出した怪物の生贄になり、粉々に砕け散る。
毎日、子供のいる女に傷付けられて生きている。
毎日、心にナイフを突き立てられている。
何故、子供のいる女は、子供のいない女に対し、自分の子供の話ばかりを聞かせてくるのだろう。
自分に子供がいなかったらどう思うか、考えることはできないのだろうか。
ほんの少しの気遣いで、人の命を救える。
その子供の話は、どうしても、子供のいない女に聞かせなければならない話なのか。
相手の状況を見て、話題を選ぶ、ただそれだけの、ほんの少しの気遣いすらできないというのなら、子供のいない女だって、我儘に、子供がいないのはつらいと言える世の中になってほしい。
だけど、実際には、子供のいない苦悩というものは、表になかなか出せない世の中にされてしまっている。
誰がそうさせているのかというと、それは勿論、子供のいる男女の自制心のなさで、おしゃべりを止めることができないようだ…… 人は残酷な生き物だ。
自分が得られたかけがえのないもの、それを得られない人が存在しているから、強く生きられる。 子供のいる女ばかりを見るのではなく、子供のいない女のこともたまには考えてみてくれないか……
何故、子供のいない女の存在を、まるで存在すらしないかのように、自分たちの子供の話ばかりをしているのですか。
優しさはどこにあるのですか。
貴方たちの中から、子供のいない女の存在を、消さないでください。
私は生きている。
その場では笑っていても、心の中では傷ついていることに、どうか気付いてほしい。
俺は末期症状だ。テレビのコマーシャルに子連れの主婦が映る、ただそれだけで、いちいちブチキレて、感情の抑制が効かないで、部屋の中で怒鳴る。
ありとあらゆる場面で、子連れの主婦が現われる。馬鹿は「お子さんのいるご家庭で」と「お子さんのいる主婦は」などという前文句で更に俺の怒りのトリガーを引く。
スーパーで昼間っから子供連れてプラプラ遊んでるような若い主婦を養うために、俺は少ない給料から税金払ってるわけじゃない。一人一人聞いてまわるぞ、てめえはまさかと思うが、旦那の扶養範囲内でそうやって昼間からプラプラと子供に話しかけながらスーパーや百円均一コーナーを毎日遊んで回ってんじゃねえだろおなあ、何の悩みもねえ満足な体をもって、欲望の赴くままに男と我儘にセックスを散々楽しんで、勿論恋愛にも何不自由なく過ごして、遊んだ結果としておめえの腐れマンコからひり落とした、お前の穢れた遺伝子が、その糞うるせえ餓鬼なんだろうがよ。
子供にうるさいって𠮟りつけるお前のほうがうるせえんだろうがよって言ってやりたい想いを抱えたまま、でもそれを怒鳴ればスーパーでヘンに覚えられて俺のほうが変人扱いだからな。こんな怒りをどこにぶつけりゃいいんだ、チクショウ、心が引きちぎれそうだ……
子連れの主婦を思いきり睨んで、咳ばらいをしてやったが、一人でいる俺が子供がいないことを察したのか、その主婦は子供を俺の傍まで近寄らせて、本当に……楽し気に……笑ってた。
心の中の空白、ひび割れて、誰にも言えない届かない長い時間の重みに涙を流した。この世に神も仏もない、あるのは、光と影で……俺は勿論、影。そう、こんなふうに、顔を醜く歪ませたまま、怒りに心を打ちふるわせながら、目の奥で、きっと届くと信じてる光を追い求めてる。
頭ん中で色んな想像がものすごい早さでかけめぐる。
-この部分は後日削除した-
その輝きが、一生懸命生きてる俺の存在意義をなくさせようとしている。だから俺は戦わなければならない。何の苦しみもなく恋愛してセックスして子供できただけの、アンアン喘いで、パンパン突っ込んで子供作っただけの、所詮それだけの結果でしかない汚物に過剰な意味を持たせようとするお前らろくでもなし共に、俺の地獄の苦しみがわかってたまるか
手に入らないのならば、それを破壊するしかない。