heartbreaking.

中年の末路とその記録

俺が人に偉そうに言えるほど立派じゃないことはわかっている。

長時間働いているので、気分が沈む暇もない。8時間労働とか可愛いもんだなと思いつつ、周りを見れば俺より長時間働く人だらけの職場にいると、自分もまだまだ働かないと駄目だな……甘いな……という責められてるような気分になってくる。

残業があるほうが、借金のある身としては稼げるので有難いのだけど、立ちっぱなしなので労働時間が10時間をオーバーした頃には足のカカトが痛すぎて悲鳴をあげている。それはちょっと高めの運動靴を買っても同じで、でも痛いのは俺だけじゃないので我慢しないとな……

休めば誰かに迷惑がかかる会社だとわかったので、俺は熱があろうが、とにかく会社には行かなくてはならない。実際、今日は熱がある。眠りに落ちる直前に、体中が熱くて、もしかすると熱があるかなと感じていたけど、休めば会社の誰かに迷惑をかけるので、いずれにせよ仕事には行かなければならないので、気にするだけ無駄だった。起きて熱計ると37度以上あって、普段低血圧の俺にしては微妙な数値なんだけど、だからどうした、死んでも仕事には行かないといけないだろうという気分に今はなっている。昔勤めていた職場で39度以上の熱出して会社の上司に早退することを伝えた時に、仮病じゃないのかという疑いの表情をされたことを思い出すと、流石に高熱では働けないことはわかっているので何とか体調をコントロールしないといけない。

仕事が終わると、先輩がたまにぐずぐずしているので、早く帰ろうぜ……と背後に立ちながら思うんだが、言えない……俺は大事なことはメモを取らないと落ち着かない性格なんだが、仕事のメモを取らせてくれない先輩で、見て覚えろという感じで、肝心なことに説明がないことが多いので、俺は焦っている……あまりイライラした様子のない、優しい先輩なんだけど、肝心の仕事の引継ぎはそんなんで大丈夫なのかと思いつつ日々が過ぎてゆく。だから休憩時間に一服しながら、覚えていることを紙に書いて、帰宅しても一応メモ帳に記録しているが、それを書いても見る時間もないままにまた仕事が始まる。もう体だけ会社に運んどいて体当たりで覚えてくしかないんだろうな……そんなに難しい仕事じゃないけど、先輩の説明不足で、謎な部分が多すぎて、ブラックホールの穴があちこちにありそうで、なんかやらかしそうで怖い。

仕事が終わると、通勤距離が若干長いのでなるべく急いで帰りたい。じゃないと仕事して寝るだけで終わってしまう。

安全運転したいのに、のんびり運転していたらいつまでたっても家にたどり着けなくなるので、遅くても80キロは出しているが、大型トラックが目の前にいると抜かずにはいられなくなる。俺は軽自動車だが、普通車と100キロ以上出して競争し合いながら帰ってきたこともある。高速道路じゃないのに、いつ人を撥ねてもおかしくない危険な運転をしている。仕事の疲労感で頭の中がぼんやりしていて、正しい判断ができなくなっている。

俺の住む町に戻ってくると、セルフのガソリンスタンドで満タンに近いくらい給油しないと落ち着けないので、カカトの痛い足を引きずりながら、楽天カードで1000円分レギュラー入れて、セブンイレブン寄って煙草を買って、ようやく帰ると、まず風呂入って、髪の毛濡れたままで、枕にタオル敷いといて、バタンキューって感じで寝る。

帰って5時間くらい寝た後で、仕事に対する責任感で自然と目が覚めて起き上がると、自由時間がだいたい4時間くらいあって、メシ作って、食欲あまりなくても腹に詰め込んだら、車運転して出勤時刻の1時間前には家を出て、後は14~15時間は家を出たまま戻らない。

お金を稼いでいるという充実感や、今後どれだけ稼げるのかという期待感はあるものの、自分の時間がないというストレスはある。

今日はうっかり彼氏に電話する約束を忘れていて、特に責める様子はなかったが、捨て台詞として「まあ許してやるわ」と言われて、嗚呼、彼氏にまで、責められるのか……と思い、一時的に自信を喪失もした。まあ、いくら疲れていても、付き合っている人との電話の約束を忘れていた俺が悪いので、ここは反省すべきか……仕事以外ではなるべく人には責められたくないけどな……

休日は彼氏と会うから、また自分の時間が潰れる。でも会わなければ関係が劣悪になるか、別れるしかないので、どんなに体調悪くても元気な顔見せておかないと。

別れれば、自由は増えても、孤独を感じるのがわかっている。付き合っている人がいるって名目が自分に並々ならぬ自信を与えていることも事実で、会社では皆仕事に追われて必死な様子で恋愛感情など芽生える余裕なんてない。

会社の誰も俺のこと見なくても、俺には彼氏がいるという自信があるので、自分に子供がいなくても劣等感だけに押しつぶされることもなくて済む。子供のいない俺がどう思われているかなんて、関係ない。

俺はいくらブログで偉そうに人に説教しても、会社の中では大したことない存在で、人に気を遣うだけ。長時間労働しているのは自分でも偉いと思うけど。高スキルを要する仕事ではなく、覚えれば誰でも出来る仕事だ。

無職だった時に自然と増えていった借金を返済するために、自分が生活するために働いているだけなので偉くもなんともなくて、ブログのように正論ばかり押し通す俺じゃなく、本当は過去に駄目だった俺自身を隠していることに罪悪感を感じずにいられない。

俺は人に偉そうに言えるほど立派じゃないってわかってる。ただ面接をたくさん受けてようやく働ける会社を見つけて今、当たり前の労働を繰り返しているだけで、仕事中も自分が先輩や周囲の人の堂々とした感じに圧倒される度、ブログで説教する俺など大したことない、謙虚にならなければならなければと、いつも感じている。通勤途中や、休憩時間に一服しながら黄昏ていることが多い。

俺は攻撃する対象の方々に、俺自身が戻りたくないと思う、駄目な自分の過去を重ね見ていることが多い。

人間、生きていると人生の過程でさまざまなところに深い落とし穴があって、そこに落ち込んでいる間は本当にどうにもならない時がある。俺は、働けない気持ちも良くわかるから、本当は履歴書をいくら書いても、面接にどれだけ通っても、上手くいかないことがあるのをあえて伏せている。

精神病名に依存する人がいきなりそういった職場で働くのは無理だとわかっている。それを面接に行けとばかり繰り返してしまったのもどうかと思うが、いずれにせよ、俺は身を削り、過去をかなぐり捨て、言い訳を一切せずに今は労働に自分の持てるエネルギーをすべて注いでいる。