会社で好きになった男性に「会いませんか」と、再びメールが入っているのを見て、このつまらない日常に飽き飽きしていた心が一瞬で張り裂けそうな想いがして、久々に生きている実感が得られた。きっと来るだろうと思っていた。
それで、いつ会いますかという具体的な話になった時、休日の夜は彼氏と会うので、時間がないことに気付いて、相手も多忙なので、また次回にしましょうという寂しい終わり方だった。
メールを終えた後、何処でもいいから頭突きしたい気分だった。好きなのに会えない!
会えない日々が、妄想をより一層激しくさせている……
目を閉じると、心が千切れるような力強さでその人が私を抱きしめて、濃厚なキスをして、実は好きだった……
みたいな……
気心知れた彼といつも通り過ごすのもいいけれど、でも、たまには、他の男と会ってみたい。
そのために嘘を吐く。たとえば会社の飲み会があるとか……本当はそんなのない。
これで時間を作れるだろうかと期待していたが、酒を飲むんだろ?俺が送り迎えするよと言われ、この嘘は使えなくなった。
他の男と会うための嘘を吐く。
一回だけ浮気させて。すぐ戻るから。というわけにもいかない。
では、次の嘘はこうだ。
今度の休日は、久々に一人で過ごしたい。
ネットの友達と会う。
ネトゲにはまった。夜は仲間とチャットするので、会う時間を昼間から夕方くらいにしてもらいたい。
休日出勤になった。
私に女友達がいないことは気付かれているので、友達に会うというのは説得力に欠ける。つか、恋人がいるのに、友達を優先させた時点でだいぶ疑いの要素になるので、もともとこの嘘は使えない。
今日、映画で「ゴーン・ガール」を観たのだが、友達と会うと妻に言いながら、妻より大分若い教え子と浮気している夫の姿には、怒りを覚えるというよりかは、わりと共感を覚える部分はあった。
信頼を裏切ってまでも、欲望へと突き進んでしまいそうになる。
嘘はきっと見破られる。上手に嘘を吐きとおせる自信がない。
それを言ったら終わりになる気がしてる。
微妙に束縛がきつい。
それは男らしさでもあるけれど、時には束縛を緩めて、自由にさせてみる勇気と賭けも必要なんじゃない。
……嗚呼、これは気の迷いです。このままで、次回も約束がなくなって、ずっと妄想のままで終わったほうがいいのかもしれない。