地元の古本屋が消えるパターン、最後にフィギュアが増えてくる。ここ、何屋だみたいな店内に変わってくるともう寿命は長くない……
ここ数年で、周辺にあった古本屋がバタバタと消えてゆき、増えてゆくのはスポーツクラブばかり。ババアの体重何キロ減ったとか誰が喜ぶねん……まずそのシワだらけの顔をなんとかせえよ。本気出してるババアは闇の田舎の歩道を歩き回ってるよ、ナンボでも歩く道あるだろ……
俺は金払ってスポーツクラブ行かないですけどね。オフの時間までしんどいことすることない……酒は寝てしまうので飲まないけど、不健康なことをするほうがオフって感じしないですか。
気が向いた時に古本屋に出かけ、漫画やゲームを物色している時間がわりと好きだった。ブックオフではなく、地元に前からあった古本屋のほうがよかった。
オタク同士、同じ空間の中で、生きてるよの報告をなんとなくしながら、このつまんない世の中で、まあこのくらいしかすることないしな、な空気があって心地よかった。たまに部外者も混じるけど。
部屋の中でずーっと同じ趣味するのも限界があるじゃないですか……そうした時、古本屋に行く息抜きは大事だったかもしれない。独りでも、誰かが傍にいてくれても、小さな旅に出てみたくなる。最適な場所が俺にとっては古本屋だった。
気付けば、俺にとってはなにもない田舎になっていた。そして歳をとってゆくだけの自分がかつての若さを取り戻そうとしても、そのための店がことごとくなくなっている。
車で走っていても、なにをしているのかよくわからない看板の中小企業が立ち並ぶだけで灰色のつまらない風景が連なってゆく。
その中でパッと映えるものといえば、田舎ではショッピングモールくらいで。楽しいと思うかもしれない、でも独りだと金がなければわざわざ行く気もしない。多様なカテゴリーが集中するぶん、便利であっても、安心感は与えてくれない。着飾った自分でいなければ安心することのできないような場所にあまり行きたくない。普段着のままで立ち寄れる店がもっと欲しい。
そういうわけで、オフの時間はほぼ部屋の中でじーっとしている。娯楽がネットの中に閉じ込められてしまった俺の世界。
ネットの便利さが、地元から奪ったものは、もう取り返すことができない。