heartbreaking.

中年の末路とその記録

貴方の過去の恋愛のデータは、今では本当に「ただの」思い出に過ぎないのだろうか

昨日の夜は、仕事から帰ると部屋に引き篭もり、ゲーム音楽を聴いたり、YouTubeでDLLした様々なアニメのオープニングだけを連続して次々と観て過ごした。

蒼穹のファフナーのオープニングが特に気に入っている。様々なロボットアニメのオープニングのカット割りを鑑賞するのが好きだ。人間・ロボット・人間・ロボット・・・ 次々と画面が切り替わりながら、歌とシンクロしながら、人間の様々な想いを力に変え躍動するロボット達を映し出すアングルへの拘りを感じたとき、そこに芸術的な美を感じて心の中心がどうしようもなく囚われる。美しい・・・

夫婦の会話が突然、途絶えるという・こんな薄っすらと危機的な状況の中でも、私はまだ何かをあきらめたくない想いで、空白の時間を作るまいと、パソコンのハードディスクに溜め込んだ音楽や動画のデータをエクスプローラ画面で次々とクリックし・・・

彼に突きつけられるかもしれない現実から逃げるために、過去のデータを漁ることで不安を消そうとしていた。

ドアを完全に閉めて、電気を消した真っ暗な中で、ただパソコンの光だけを見つめながら・・・ 心の中でずっと願っていた。このドアを開けて、貴方に入ってきて欲しい。私から貴方のほうに入ることは出来ない。

トイレに行くので、彼の部屋の前を過ぎると、部屋の中からわずかに光が漏れていた。いつ仕事から戻ったのだろう。ドアを開けて私から話しかければいいのかもしれない。

結局、あきらめて部屋に戻り、パソコンの過去のデータを漁ることにも飽いたので寝ようか・・・ と布団に潜り込むと、ドアが静かに開く気配がした。見上げると、何だか複雑な表情をして、髪もボサボサの彼が立っていた。顔が別人のようだ。

お互い向かい合って座ると、私の過去についての話になり、あの頃が良かったと今でもそう思っているのか・・・ と聞かれたので、そうは思っていないと答えた。

彼にとっては不快なだけの、私の過去の男関係が、私の中でまだ「良い思い出」として残ったままでいることが、彼は許せないらしい。楽しかった新婚生活の中で、彼が私に与えてくれた愛情が、過去の男関係をいい思い出にして仕舞い込んでいる私の中に呑み込まれていくような虚しさ・・・ 怒りを感じて無口になっていたという。

彼は私の体に手を伸ばし、この体を抱きしめながらこう言った。

「自分の体をもっと大事にしてほしい。僕にとっては大事な体だ」と。

私の体を利用するだけだった、通り過ぎるだけの男たちよりも、貴方のほうが好きに決まってる。大好きで、ずっと離れたくない。そう言えたらいいのに、その言葉すら言えずに私はただ彼に抱きすくめられたまま、この気持ちを伝えることが出来ませんでした。彼のことが愛しくてたまりません。