昨日の夜は、旦那が奪ったという「処女」の元カノに激しく嫉妬し、ゥアーッ!と叫びながら、ティッシュ箱を床に投げつけてしまった。喉が痛い。
好いた相手の処女を奪う、好ましい男に処女を奪われる。今、夫婦となった相手にその事実があった。それが私をこんなに苦しめる。
処女を、好いた男に奪われた女は「痛い」と泣いたのだろうか、なんて幸運な痛み・・・ この心はズタズタに引き裂かれる思いで、ただ、苦しい・・・
その記憶の渦の中に、私はどれくらい居るのだ。
どうにもならないこと、選べなかったこと、それが処女を好いた相手に奪われたことなのか、好きでもない男に強姦されたことなのか、その違いは大きく、不運に処女を失った女の心はきっとどこか寂しい。しかし、その心の溝を埋めてくれるのは、自分が求めても得られなかった・もう二度と得ることのできない瞬間を得られた者たちであり、この事実はどうにも変えることはできない。
処女膜は、望まずして破られていたのだろう。ならば自分の心の中に処女膜を作って、本当に愛されて奪われる瞬間を、それだと自分の心を偽ったまま生きていたい。
私が何故こんなに、処女に拘るのか。
私は幼稚園児のころに、気持ち悪い、身内のお兄ちゃんに、まるで昆虫を扱うように捕らえられ、将来子供を産む場所に、固い道具を突っ込まれたり(まるで解剖されるカエル)、指で滅茶苦茶にされながら(初めての私に、童貞の兄、だから容赦なく地獄の痛み)、死ぬー!ギャー!と泣き叫び、ドアに向かって手を伸ばしたが、誰も気づいてくれなかったのだ(そこは2階で、1階が工場だった為)。
助けを求めても、誰も助けてはくれないのだ・・・ ということを、幼稚園児のころから、心ではなく体にしっかりと植えつけられてしまった自分。そこで、私の地盤が固まってしまった、どうしても他人と打ち解けることはできない。
涙と鼻水で視界がぼやけて気を失う寸前に、小さな私の体に圧し掛かったお兄ちゃんの股間からとてもおそろしいものが取り出されて、死を覚悟した瞬間の恐怖を今でもはっきりと覚えている。当然、今のようにテレビやネットの普及していない時代なので、何の知識もないから、それがどういう意味をもつ行為なのか、それが人生にとって、女にとってどれほど大切なことなのか、わからなかった。
股間に手をやり、下卑た笑いをうかべるお兄ちゃんが悪魔のように見えた。処刑される寸前の気分を、幼稚園児の頃にすでに味わってしまった。
部屋の壁にかけられた、薄汚れたぬいぐるみに向かって必死に手を伸ばし、体を引き摺って逃げようとしたが、力で敵うわけもなく、両足を引き摺られて、私の大事な場所は、そのお兄ちゃんによって奪われ、滅茶苦茶に扱われてしまったのだ。
道具ではない、なまあたたかいものが強引に押し入ってこようとする・・・ それがすごく怖いことだと思って心が潰れた瞬間に気を失った・・・
目がさめると、外は雨がザーザーと降っていて、いつの間にか服も元通り着せられていて、下の階では身内のおじさんたちがトンテンカンテンと物を作る音が聞こえていた、なにもかもいつも通りだった。幼稚園児の私が認識できたのは、殺されると思ったけど生きていた、という事実だけであり、しかし私はそのときから何かとてつもなく大事なものをずっと失ったまま今も生きている・・・ きっと。もうそれは取り戻すことはできない。
私の乳首や耳を舐めながら「誰にも言っちゃだめだよ」とささやきながら、幼稚園児にそんなことをする身内のお兄ちゃんを、私はいつの頃からか、その存在自体を「なかったもの」として自分の心の中に大きな空洞を作り出してしまったのです・・・
当時はまだ日本の景気がそんなに悪くなかったので、夏になれば身内ぐるみで海へ遊びに行った。私をいじめたお兄ちゃんも一緒に来る。泳ぐのが苦手な私は、砂浜で一生懸命、お城を作っていました。遠くで、海の深いところに飛び込むお兄ちゃんの姿を、まるで悪魔のようだ・・・ と思い、一人で誰にも言えず怯えていました。海に飛び込む悪魔の姿が、消えない残像となって今も私の心に焼き付いているのです。
こんな自分だから、スーパーでギャーギャーうるさい子供の「ギャー」「いやー!」って声を聞くだけで、体の真ん中に剣を刺されたように動けなくなってしまうのです・・・ だからといって何でこちらが耳栓やイヤフォンをして遠慮しなければならないの?って思うので、毎日、子供の泣き声を聞くたびに死にたい気分になりますけど、黙って生きてるんですよ・・・
旦那は「そんなこと言って、私は苦しいから遠慮してくださいと皆が行ってたら、誰も外を歩けなくなる」と失笑するのですが、虐待とか、性的虐待とか、強姦とか、そういう過去をもつ女にとっては、そんな次元の問題ではないです。生きるか死ぬかの問題なんです。
子供の泣き声は、結婚しても克服できませんでした。自分に子供が産まれたら克服できる問題なのでしょうか・・・