heartbreaking.

中年の末路とその記録

女を本気で誘うならまず名刺をくれるだろう

この間、会社で一本だけ吸うつもりで休憩していると、たまに挨拶するだけのおじさんがふらふら近付いてきて、今度、二人で会いませんか?と誘われることがあった。

なにも魅力を感じない男性に誘われる時は、断り方も難しくなる。そのことがあった後も、会う度に話しかけてきて、もう二人で会うのは確定のような勘違いをしてしまっているのか、困った……と思っていると、人の目に付かない場所で急に手を握りしめられていた。

こちらが仕事を円滑にするために愛想良くしてたら、この人もしかして自分のこと好きなのかなとか都合よく思ってその思考のまんま相手に伝えてしまう人って危ないな……

気になる人に気持ちを伝える時は慎重にやらないと、もともとどうでもいいというかさして興味もないだけの存在だった自分が、猛烈に嫌われてしまう可能性が高い。へんに付きまとったり、無駄に声をかけて嫌われるくらいなら、勘違いをしたままで毎日それで楽しく仕事していたほうがいい。相手にとっては空気と同等の存在でいたほうがまだいい。誰しも内情を覗いてみれば、面倒な問題の一つや二つある。その人の背負う人生と、面倒なことに一切立ち入る覚悟がないのなら、迂闊に声をかけてはいけない。そんな軽い存在などこの地球上に誰一人として存在しないのに、楽しいことばかり考えているようなくだらないやつは、いざ相手の込み入った話を聞いた途端逃げ出す。

気になっているのが会社の人であるなら、声をかける前に、その人が今忙しい状態にあるのか、あと一体何時間会社にいるのか、様子をよく観察してからにしたい。貴重な休憩を奪えば、その後の仕事にも支障を与えてしまう。ただそこに休憩しているからって、気安く話しかけていいってもんでもない。特に煙草など吸っていると勘違いされやすい。暇そうに見えたとしても基本、無駄なおしゃべりをしている時間ではないケースがほとんどで、その一本を吸うためにわざわざ仕事を抜け出してきているだけかもしれないのだ(私もそうだ)。一服の休憩中、一言二言以上に会話をしてもいいと思える人は実際そんなにいない。挨拶程度ならするけど。

あーほんと勘違いは怖い。会社の中に、嗚呼いいなと思う男性なら何人かいるけど、妄想の中だけに生きていたほうが幸せな場合もある。如何にも孤独だろうとしか思えないような時間帯に働いていたとしても、たとえ自分に微笑みかけてくれたとしても、そんな人には最低条件として彼氏や彼女くらいはいるだろう。そこをブチ破って自分の方向に気を向かせるのはハードルが高いように思う。実際、今私が二股をしてしまっている状態の中にいる会社の男性は、いきなり私を誘ってきたわけではなく、それ以前に互いを思い遣る小さな努力を重ねてきたからで、その人は、まだ二人だけで会う以前の私の言動一つ一つを驚くほどよく記憶していた。好きでないと、自分達の貴重な休日を割いてまで会おうとは思わない。

声をかけてきた人が、いい人なのか悪い人なのか、そんなことどうでもよいが、まず、男ならば名刺も渡して自分のステイタスをきちんと示してから誘うのが信用だと思う。私の大本命な会社の素敵な男性は、名刺の裏に電話番号書いてズバーンと渡してきてから誘い出してきたし、肩書もきちんとしていて信用のおける方だった。元夫も付き合う前に確か名刺をズバーンと渡してきてそれを見るだけで嗚呼仕事の出来る人だなとわかったので、そういうことが出来ないで女を誘う男は信用出来ない。