heartbreaking.

中年の末路とその記録

強がる唇が微かに震えていたので、どうしても離れられなかった

二股していると絶えず片方に嘘を吐き続けなければならなくなるので、自分がどんどん嘘吐きになる。自分のつまらない見え透いた嘘に騙されたふりでいてくれる。その健気な想いを陰で残酷に捻じ曲げて、その捻じ曲がったものをまだ所持し続けようとしている自分のほうが、二人でようやく築き上げた情の部分に執着している。人生の中で通り過ぎる一時の恋愛の中にも、足を踏み外しそうになる時がここ最近何度かあった。自分の身勝手さに蓋をするために。行動は裏切っているが、まだ心は裏切っていないのを証明するために究極の選択としてこの世界から消えれば、自分の最悪な浮気癖を食い止めることは出来る。愛してくれる人を騙し続ける自分がどうしようもなく嫌な時があり、そういうグラついてる時に、自分の愚かな行動により、もし相手の流す涙を見てしまったり、背を向け静かに去ろうとする姿を見てしまったなら心が空洞になって、最悪な自分に苦笑いしながら、純粋に想ってくれる人を傷付けた代償として今後もろくでもない選択を繰り替えした挙句、ひとりぼっちになって、誰も手を伸ばしてくれない深い井戸の底は、楽しかった想い出を美化しながら眠ることさえもできぬ冷たさで、愛に真剣に応えていれば、もしかしたらこれほどの冷たさは感じなかっただろうと後悔しながら、自分を愛してくれるただ一人の人間すらもいないままで、どうして趣味だけで生きてゆけるだろう。情の通い合った人が、自分の吐いた嘘によって、深く傷付いている証拠に、強がりながらも唇を小さく震わす様子を見てしまった。私からは見えないところで涙を流す想像はしたくない。私の嘘に騙されてくれている。だから私は本当のことは言わなかった。嘘に気付いていても騙されたふりをして、痛々しい笑顔を向けてくれる時……地の底まで手をついて懺悔せずにおれない。彼を大事にしなければならないなと反省もするので、結局、別れを言えなくて、言いたくなくて!二股が終わらなくなる。願わくば、会社の人が早く私に飽きてくれればいいのになと。それだけ……