夢でも見ていたのかな……
そうか、夢だったのか、で済まされるほど心の中は単純ではなく、愛し愛されていたと感じた体が悲鳴を上げ続けている。これでは趣味を楽しむ心の余裕すら出てこない。
起きてる間中背中に貴方を感じる。
貴方のすべてを感じられた時のことが、日々をそれなりに過ごせる基準値を上げてしまった。
連絡もない、次の約束もないとなると、無気力になり、まるで悪い夢みたいな仮想世界の中でとりあえず自分が最低限のことだけをこなしているような、意味を感じられない現実の中で生きている。限界ならとっくに迎えている。重症患者で、どんな精神病患者でもない、ただ貴方を愛するのに逢えない苦しみの中でもがくだけの、たった一つの連絡や約束で簡単に治ってしまう病気なんだ!
悪い想像と、とんでもなく楽観的想像の狭間で、上手く均衡をとらなければ、もう前に進むことはできない。
色々反省もした。もう少し言葉に配慮していたら、今も連絡を取り合えていたかもしれない。余計なことを言い過ぎたかもしれない。
笑顔、もう一度見たい。唇の感触、思いだすだけで下半身が疼く。
もう二人きりで逢えないのかと思うと、自暴自棄になって、声をかけてくるどの男でもいいから手当たり次第に貪り尽くしてやりたいという気分にもなる。もうなんでもいい、意味のないセックスにこの空虚な心を投げ込んでやりたくなるんだ!
数日、連絡が途絶えただけでノイローゼになる。壊れる前に早めに再構築するんだ、望まないもの、中途半端なもの、未知のもの、全部取り込んでもう一度自分を作り直すんだ……
静けさの中、冷たく燃え盛る炎に心を焼かれ続けているような、この空洞の中から見える世界は一枚の硝子を隔てたように、リアリティを感じない。怖いな……その人しか見えなくなってしまうという状態は、まるで自分の世界が、その人と逢える時間の中に凝縮されてしまう。他はあくまでこの生命を維持させるためのつまらない義務のようにすら感じさせる。
何度も頭痛がした。
連絡のこない中で、もう諦めようと思うたびに、 無気力になり、これ以上無気力になる前に消えてしまうことも考えはした。毎日、その人のことばかり考えて過ごした。
それでも仕事には行かなくてはならなくて、ない気力を振り絞って働くことも、なんだか虚しく感じる瞬間がかなりあった。
同じ会社なのでたまに会えるが、約束がないまま、離れるのは本当につらい。怒りが魂の底からこみあげてきて、自分がとんでもない怪物へと姿を変えてしまいそうで……そんな時は、なにもしたくないので、仕事から抜け出して煙草に火を付けて頭を冷やしている。
この恋が最後だと思って勇気を出して声をかけた……と、言っていたのだが、なら、なんで連絡がないのだろう。
体の相性を相手はどう思ってるかわからないけど、三度目はほぼ同時に果てたので、好きだという気持ちと、自分の望む通りかそれ以上のセックスが重なった瞬間に、この人が自分にとっての最高なのだと認めざるを得なかった。
愛してる、と一寸の迷いなく何度でも言える。創聖のアクエリオンの歌詞の世界。そんな経験ありますか。