heartbreaking.

中年の末路とその記録

会社の男性に逢えたのでいつ死んでもいいです。有難うございます。

何度か寝た会社の男性を自分から誘った後の返信が「いいけど」で、更にその日逢うのをキャンセルされたので落ち込んでいた。生きる意欲がなくなるのは、恋愛では初めてだった。

運転中、暴力的な気分になることもあり、すべてが馬鹿らしく思えることもあった。……そんな中、順調に毎月訪れていた生理も止まった。

逢えない原因を覆すことは出来ない。それを修正してゆくためのきっかけ、あるいはチャンスをもらうことが必要だと感じていた。心の中はどうしようもなくみっともない想いで溢れているのに、自分が生きるためにそれを取り繕うのが大変な状態だった。

連絡を待つつもりでいた。けれど苦しめたい……と、間違った考えに駆られてしまう時もあった。

平和的な解決は、その男性の存在自体をなかったことにして、すべてをゼロに戻そう。会社の男性なのでその姿を見ないで過ごすのは不可能だが、ゼロに戻そうという考え方が何故か凄く説得力を持っているように感じられた。

ある人が自分の悪口を言っているように感じることもあった。自分を追い詰めたくて幻聴に拍車がかかっていた。

一人の部屋は逆に音を遮断したい気分の日が増えていった。

休日はなにもする気になれずカーテンを閉めて眠り続けた。様々な夢を見た。

空腹で目が覚めて、つまらないな……と思った。現実を消したい。そんな気分で落ち込んでいると、少し離れたところに置いてあるスマホが数回鳴ってすぐに途切れた。えっ?て感じで期待した。

もうどうでもいいのかと思ってたけど間違いなくその男性からの着信だったので、念のため確認のショートメールを送ると、数分後にもう一度電話が鳴った。

戸惑いながら受けると、テンション下降気味の低音で話してくる。あまり嬉しそうでない様子、そっけない部分に惹かれてしまったのかもしれない。どちらが言い出したのかは忘れたが、その日逢う約束をした。

停滞していた世界が色を取り戻し勢いつけて動き出した。

もう4度目になるのに、なにもかもが、まだ恥ずかしかった。えーと、ラブホの部屋を選ぶ段階からすでに気恥ずかしい……

なんでかというと、毎回、室内に入っても他愛ない話をしているくらいで、とてもそんなことをする雰囲気ではない。

2時間も一定の距離をあけた状態で並んでソファで会話しているだけで、いつするんだろう。

会話も尽きてきた頃、ようやくその男性が立ち上がり、私の目を見つめ少し意地悪な質問をしてきた。

「じゃあ……しようか、それともこのまま帰ろうか……」

私は動揺を隠せなくて、か弱い声で「する」と答えると、相手は躊躇いなく服を脱ぎ捨てベッドに寝た状態で、こちらの動向を窺っている。

いつも私がどうしたいのかを窺っているような気がしている。私は、これからまたこの人と……と思うだけで、いままでの人生のすべての嫌な出来事がこの時だけは吹っ飛んで集中できる幸せな気持ちになれる。

好きすぎて死んじゃうかもしれない。なんで、どこでこんなに惚れたんだろう。あーやっぱりセックスが上手いから。えーん、もうその男性の魅力を知ってしまったのでどうにもならない。奥村チヨ「恋の奴隷」を知っていますか……その歌詞の通りの想い。

セックスの上手い男性は、一つ一つの仕草に色気があるように感じる。その光景が頭に焼き付いてしまう。

離れた後もそれを思いだして、あれは危なすぎたとか色々溜息をついてしまう……

今回はなんか、何故かはわからないけれど、セックスする時間が長かったので(しかもずっと気持ちいいなんて、なんでこんな大当たりな人が普通に会社にいて私なんかを誘ってくるんだよ。。)嬉しかったのだけど、その途中で男性が水分補給するためにペットボトルに手を伸ばし、挿入されたままで私は、上に乗ったその男性が水をごくごくと飲み干す姿を見てしまった……

……あの、そのまま水を飲むんですか。ものすごく野生的で格好いいですけど。

熱い……疲れた……なに言ってたかは覚えてないけど、水を飲んでいる時の腕のしなやかな筋肉と、引き締まった腹筋と、飲み終えた後にこちらを獲物を見る獣のような目で見た瞬間にやられた。

嗚呼……あと、もう一つやばかったのが脚を折り曲げて閉じたまま奥まで挿入された状態で、私の膝小僧に口付けしてきたので……えっ、こんなことするなんて意外、みたいな感じでそれが、やばかった。やばいやばいで出川哲朗みたいですが。

行為自体も私がいままで生きてきた中で一番セックスの上手い男性で……それに加えて仕草の一つ一つも妙に頭に焼き付いて、私はその男性の熱狂的ファンなのか。あー何度も言うけど、挿入した状態で自分だけ水飲んでまた続けるのは、口移しで水飲むよりもやばいから。ありのままでそういう色気を醸し出す人なのだとしたら私この男性にいつまでも飽きないだろうなあ……仕草は終わった後に黄昏る時に重要。

もう私、いつ死んでもいいです。

有難うございます。

次回はあるのでしょうか……

こちらからは連絡をしないで、待ち続けます。

この日の想いと、そしてこれまでにその男性が私のためにしてくれた行動一つ一つを思い出しながら、待ち続けたいと思います。