heartbreaking.

中年の末路とその記録

断れない性格が原因で、二股が三股に

誰にでも親切に笑顔で接していると、大抵の人は同じように気分良く接してくれるようになる。勿論、男性でも女性でも同じように、誰が特別とかそういうのはなくて、ただ俺は気持ちよく働きたいだけなので、仕事に関わる全員を好きになろうといつも努力はしている。

勿論、仕事帰りに寄るコンビニでも、感じの悪い客にならずに、店員さんにすら気遣いをする。

だけどそういうところが、たまに勘違いを招いてしまう。

色気付いて笑顔で接しているわけではないのだけど、今まで何度か男性から勘違いをされたことがある。

俺の休日がいつなのか、をたずねてきた男性が二人いた。休日をわざわざ聞くってことは、逢ってみたいと思っているのか。そういう場合は、好みのタイプなら正直に曜日を教えるし(で、具体的に予定を向こうが立ててくれればそれにのる)、好みでない人の場合は「休日は、ありますよ」って感じで曜日までは教えずに曖昧にしておく。すると、休日をたずねてきたその人がスーッ……とフェードアウトしてゆくのがわかる。なんでそういう答え方をしたのかというと、その人が痩せすぎているように思えたから。

痩せすぎていても、太りすぎていてもなんだか気持ちが悪い。中太りも微妙……理想なのは、痩せても太ってもいない、しなやかな筋肉の鎧を全身にまとった男らしい体。中年になると、顔も大事だが、顔はある程度整っていればよいので、まず体(特に、腕)を見ている。

うっかり全然好みではない、なんかやたら話の長いおっさんに休日を教えてしまったこともあるんだが、そしたら今度二人で珈琲でも飲みに行きませんかと誘われて、手を握られて、それからしばらくして「嗚呼、そういえば〇月〇日にコーヒー飲みに行く約束でしたね」とか勝手に日にちまで決めてきたので、そんな約束してないじゃない、妙に強引だなと思いながら、その日は友達と約束あるんでと断った。おっさんにまったく興味がないことに気付いてくれただろうか。好みでない嫁も子もいるおっさんとうっかり休日にコーヒーでも飲みに行ったが最後、ドライブ中に通りがかりのラブホへ連れ込まれて最悪なことになる。で、一度抱いたらもう自分のものになったように社内で男共に言いふらされたりしたら俺は一巻の終わりになる。

どうして今頃になって自分がこんなに男に声かけられることが増えたのかまったくの謎なんだが、「男にいっぱい声かけられて嬉しい」とかまったく思っていないわけではなく、そこは素直に嬉しいが、そんな束の間の満足感など、子供のいる女性からすればとてつもなくちっぽけでしかない。笑われているんだよ俺は、子供もいなくてイイ歳こいて男と調子に乗って遊んでるだけのろくでもない女がまた男を騙そうとしている。騙される前に、その男の側にこの女が実は遊び人であるということを教えてやらないとなんて親切心で人の新たな恋路を邪魔してくる女性だって現れてくる。

いまうっかりというか、故意に、二股なんだが、バレないように上手くやっているはず……もしバレたら一応死ぬ覚悟出来ている。

そうしていると、いつの間にか三股状態に……

なんかこれまで話しかけても「特に気のなさそうな」態度をとっていた男性が、ある日、電話番号を聞いてきたので、断る理由もなく(会社関係の人なので多分そこそこマトモな人だろう)紙の切れ端に書いて渡すと、それから連絡取り合うようになっていて、そんで何故か二人で逢う約束をした。ただ逢ってみて話すだけ。

キモいおっさんから誘われたらそれは逢おうとしないですけど、キモくなければ誰とでもとりあえず逢ってしまう。

まあ、いいんではないか?と思える人に誘われるとはっきりと断れない。

「いま付き合っている人がいる」と言えないのも、それをいきなり伝えたら相手の笑顔を消してしまいそうでそれが嫌なだけで。自分に少なからずなんらかの好意(興味?)を抱いてくれている人にはあんまり嫌われるようなことはしたくない。結局言い出せないまま、いよいよ二人きりで逢う時になって打ち明けれそうなタイミングが見つかれば言おうかな……みたいな。なんかいつもそんな感じだ。純粋なの求めてない人なら別にいちいち傷付いたりしないだろうから、どうでもいいか。