死ぬのは簡単だけど、生きる事は難しい。気になりだすと、首に出来た小さなシコリさえ恐ろしくなる。腫瘍か?と不安になる。そんなわけないだろうけど、怖い。まだ死にたくない。
部屋の外に出ると、音の洪水に押し潰されそうになる。店にフラリと入れば、流行歌が耳につく。ヘタクソな歌だなと呆れるが、嫌でも耳に入るので、つい歌詞の意味を考えてしまう。「真夏の太陽の下で・・二人・・」なんとかかんとか歌ってやがる。イイ気なもんだな。思うまま恋愛出来る肉体が羨ましい。さぞかし楽しいだろうな。
一年前の今頃は、ちょうど身内と揉め事の渦中に居た。身内の連中の冷たい視線に囲まれた中で、被害者である俺がまるで「犯罪者」であるかのように扱われた。俺が、「トラウマ」「断片ごとの鮮明な記憶が消えない」と話すと、ニヤニヤとこちらを見る身内の男の一人は、「なぁにがトラウマだ」と、俺を嘲り笑った。祖母は、俺を信じようとはしなかった。俺の母も必死に何か訴えていたが、蚊の鳴くような小さな声では、身内の連中の喧騒に巻き込まれて何も届きはしなかった。
俺の両親は、真面目で仕事熱心だった。幼少期の俺は、祖母に預けられ、お菓子を沢山与えてもらい、結構甘やかされた、オバアちゃん子だった。祖父は寝たきりで、死んだように布団に眠っている。牢獄のような静寂の部屋で、俺は与えられたお菓子を食べながら、一人で行儀良く遊んでいた。
祖母の家と、長男の家は渡り廊下で繋がっている。一人で遊んでいる俺に、長男の息子(次男坊)が声をかけてきた。「ゲームがあるから、遊ぼうか」って笑顔で誘われたから、俺は手を引かれて、その弟の部屋に遊びに行った。テニスやサッカーのゲーム。マリオなどもピコピコ遊んでいた。次男坊は、俺の背後の机で、ガンダムの落書きをして楽しんでいた。俺はゲームに夢中になっていた。
いつの間にか、背後に居るはずの弟と入れ替わり、その兄が入ってくる。「やあ、○○ちゃん。」って笑顔で、俺は何も疑いはしなかった。
初めての性体験は、その日に行われた。ザラザラした絨毯に押さえつけられて、乾いた穴の中に、解剖するようにネチネチと指を入れられて、いちいち「どう?」って聞かれた。涙で霞んだ視界に、その男のチンコが映った時は、戦慄が走った。殺されると思ったが、俺は焼け付くような痛みの中で意識を失ってしまったらしい。
それが一度や二度なら、子供の頃だからと割り切れるだろうが。幼稚園から小学校低学年まで、その男に会うたびに強要された。すりガラスの、その男の弟の部屋では、そんなに過激ではなかったのだが。その男の部屋に連れ込まれたときは最悪だった。風景が紅くなるほどの恐怖を味わった、あの日から俺は、人として大切な何かを、ごっそり失ってしまったのかもしれない。
セックスしたいけど、怖い。俺の彼女とのメールで「塗りつぶす」という言葉が出てきたのだが。俺も、誰かとセックスして、この記憶を塗りつぶしたい。あの男の感触を忘れる為に、穴の奥まで突き刺した玩具が、股からドロドロしたまま絨毯の上に落ちる。ねばついて光る玩具を見て、もういい加減死んだ方がいいかもしれないな、といつも自分の命が虚しく感じてしまう。俺が望むのは、加害者の死。そして加害者の嫁と子供の死。それ以外に有り得ない。
goo blog funamushi2 - 2006-07-25 06:22:58 コメント ( 8 ) | Trackback ( 0 )
コメント
Unknown (c)
2006-07-25 08:01:31
あなたの魂が、少しでも軽くなりますように。
Unknown (cpix)
2006-07-25 20:50:53
読んでいるだけで、目前が真暗になる絶望と、どこにぶつければいい分からない怒りを覚えて、それにはしごさんを救えない自分の無能も嫌だ。
加害者の死はいくらかでも救いになるし、開放になって。
私すら、私にあの理不尽な経験がなければ、あの理不尽の生成者さえ消えてくれれば、救われる、それもできるだけ惨たらしく、と繰り返し覚えます。
Unknown (Unknown)
2006-07-25 23:47:01
加害者は理解できるけど嫁と子供は別だろう。
多少気持ちが理解できているのかできてないのか良くわからない。でもまた違った意味で俺はきつかったなぁ。
そっちではないけど。
cさんへ (ゆがんだはしご)
2006-07-26 02:26:33
どなたか存じませんが、気にしてくれて有難うございます。こうして話を聞いてくれる方が居るだけで、俺は救われています。
cpixさん、こんばんは。 (ゆがんだはしご)
2006-07-26 02:27:54
もう同じ話を何度も繰り返している状態なので、うんざりしてる読者(?)の方も多いかと思います。俺自身がノイローゼ状態になっているので、これは「怨念による自動書記」なのかもしれません(あるブロガーに言われた通り。
自分でも、こんな記事は出さない方が良いと思うのですが、それでもこうして話をする事によって、自分の中に居る幼少期の自分の心と何とか折り合いを付けようと葛藤している状態です。
誰しも生きて行く中で、「加害者」が居ると思うのですが。例えば、恋愛で裏切られた人が自分の生涯にとっての「加害者」のように思えたり。顔や見た目を馬鹿にした誰かの心無い言葉が一生胸に突き刺さっている状態も、その発言主が「加害者」のように思えるでしょうし。俺なんかより、もっと悲惨な方も多いかと思います。そういった何らかの被害者意識を抱えている人の中でも、よほど忍耐強い人でなければ、俺のような傲慢な自分語りは聞くに耐えないだろうと思います。
ですが、こうして気分の悪い話を聞いてくれる方が居ると、それだけで救われています。こんな俺の為に、いつも有難うございます。後で連絡します。
Unknownさん、はじめまして。 (ゆがんだはしご)
2006-07-26 02:29:05
加害者の嫁と子供に個人的な恨みは無いのですが、加害者の男の「遺伝子」が受け継がれる事に対する凄まじい嫌悪感が有ります。
俺の遺伝子は受け継がれる事無く滅んで行くのに、幼い俺を女のように扱った傲慢な男の遺伝子は、俺が死んだ後も子々孫々と受け継がれて行く・・。これだけで何だか、加害者より俺の方が劣っているようにも感じられますし、加害者に似た娘を見る事により俺の無能さを見せ付けられているようで、たまらなくなるのです。
俺は、こんな話をしていますが、関わりのあるブロガーの恋愛話や、嫁や子の話にまでどうこう干渉するつもりは無いです。当たり前の事ですが・・、、 でも、俺が一方的にぶつける傲慢な話を、笑う事無く真剣に読んでくれる人達に救われています。俺の何が「きつかった」のかは解りませんが、1人でも多くの方に、性的虐待被害者の悲しみを知っていただけたら、それだけで俺が生きている意味が生まれるのです。
初めまして。 (アルプス)
2006-08-12 21:09:28
初めまして。数日前からブログを拝見させて頂きました。
突然ですが、私は小・中とイジメられてきました。自分ではどうしようもならない事で、小学生の頃はほとんど毎日泣いていました。泣く時も、絶対に人前(特に親の前)では泣かず、両親に心配をかけたくない一心で、自分の部屋でただ息を殺していました。
高校生になった今、あのイジメられていた事によって、人をどんな言葉・行動で接したら傷つけるのか良く分かるようになり、言葉を選んで相手と向き合う事が出来るようになりました。それによって、共感出来る子も見つけられるようになりましたし、毎日が楽しくなりました。
あの、辛かった(一度だけ、本気で死のうと思った事もありました)日々は、決して口が裂けても『良い思い出』とは言えませんが、意味のある経験となりました。
私は両親を尊敬しています。生んでくれなかったらこんな悲しい思いをしないで済んだ…と思う事もありましたが、逆に生んでくれなかったら大好きな物語を書くという事も味わえなかったし、美味しい物も食べられなかったな…と思うと、本当に感謝しています。生きていく事は辛いけど、心地良いです。『己』というものが無い世界にいる方が、私は辛いです。もっと色んな人の感性が知りたい。自分を成長させたい。私を作ってくれた両親には「有り難う」の言葉しかありません。
拝見させて頂いて感じたのですが、とても想像できない日々を送られてきたのですね。『幼児虐待』は、最近よくテレビで聞く話題ですが、その痛みが何となく分かりました。何年経っても消えることの無い痛み…人生をズタボロにされる事の恐怖…是非とも、この世から抹消する事を祈ります。
人の傷ついた重さは計れないから、誰が一番不幸だなんて分からないけど、良い意味でこのブログは、私の考え方の道をまた一本増やしてくれました。有り難う御座います。
心の内にあるものを文字にしようとすると、三分の一も伝えたいことを形に出来なくて歯痒いです。それでも言葉を選んだつもりです。傷つくことがありましたら、すみません。
本当に考えさせられるブログです。辿り着けた事に感謝します。
アルプスさん、はじめまして。 (ゆがんだはしご)
2006-08-13 05:52:35
いじめられた経験のある人は、何を言われたら傷付くかが解るから、言葉を選んでるのかもしれないですね。俺も結構、気を使うタイプなので、どうしても相手の顔色を伺うような感じで言葉を選んでしまうんですよ。だから、本音が言えなくて自分の中に溜め込んでしまうので、そうゆうとこはちょっと損してるかもしれません。でも、それは仕方が無いんですよね・・、
子供時代に周囲の環境から無理やり作られてしまった性格なので、大人になってもなかなか変える事は出来ません。
子供時代にイジメとか受けてしまうと、大人になっても、人間関係を構築する上で、イジメの記憶がトラウマみたいに作用して苦しんだりとかもするんですよね。
俺はいまだに、子供のままの性質で生きてるようなもんなので、会社とか入っても、異常に気を使いすぎて疲れるんですよ・・人間、性格変えようとしても変えられないですから。
小学生くらいのイジメってのは、結構残酷なのが多いですよね。俺の場合は、そういったイジメは余り受けませんでしたが、記憶に残ってるのでは、友達の家のマンションから、仲良しだった友達に突き落とされそうになった事もありました。遊び半分で、「じゃあ、ここから落ちてみれば?」みたいに友だちに脅迫されて、いまだにそれが記憶に残ってます。今思えば、ふざけるなって感じですけど、、
ホントに、子供ってのは残酷なんですよね。そのイジメられてる子にも親が居て、もしその子が命を落としたら、その親がどれだけ悲しむか・・。子供だから、そこまで考えが至らないんですよね。
幼児虐待について考えていただいたようで、有難うございます。少しでも、幼児虐待について考えてくれる人が増えれば、俺が存在する意味が生まれるんじゃないかと、そんな気持ちでブログを続けています。
こんな根暗ブログですが、良かったらまた遊びに来てください。コメント有難うございます。
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