heartbreaking.

中年の末路とその記録

私が結婚指輪を外して職場に行くことになった理由

ある日、会社を変わり、新しい会社で先輩に「結婚指輪をつけたまま働くつもりなのか」と注意されたので、その翌日から指輪を外して働くようになりました。後で知ったのですが、この先輩は独身だったので、おそらく私のつける結婚指輪に心が傷ついたのでしょう…

大切な人が、少ない給料から買ってくれた指輪だから、できることならばこの命尽きるまで指にはめていたいと思っていました。パートナーもそれを望んでいたので、私が指輪を外したときは、なぜ外すのかと、残念そうに問うてきました。

私の心は複雑でした… 結婚指輪をつけて会社に行くことで、先輩に嫌われることは明らかなので… 指輪をしばらく仕舞っておこう、と、指輪を箱に仕舞うことになりました。

一度、指輪を外してしまうと、それからいつの間にかその存在を忘れたようになり、その間に数え切れぬほど夫婦で喧嘩をし、指輪は箱の中に眠ったままでした。おそらくこの指輪をつけていたならば、少し違っていたかもしれません…

私も独身の頃、あらゆる場面で、指輪をつけた女性に出会い、その時々に小さく傷つき、口には出さず、そういうものなんだ… と、思うようにしてました。結婚した今でも、結婚指輪をつけていた女性たちの姿がモノクロ写真のように記憶に焼き付いています…

結婚指輪は案外、見られているものです… また人の記憶にも残ります。

独身のまま年をとる人を冗談混じりにからかう既婚者もいるので、仕事はできているのに独身であるという理由だけで不当に見下されたり、こいつは大丈夫なのかと余計な心配をされたりしないために、一人で結婚指輪を作る・あるいは結婚指輪のように見せかけた指輪を購入する場合もあるでしょう…
仕事だけを心配していられたらよいのに、仕事には、独身者も既婚者も存在するために、多数の常識が当たり前となり、少数の常識は通らない、特に結婚については大多数の企業で多数が既婚者であろうかと思います。

大切な人と同じものを常に所有しているという、どこかロマンチックな思い、それは二人だけの大事な感情ですから、他人がそれにとやかく言うこともないかもしれません。でも、自分が指輪をつけることで、明らかに傷つく人がいると気付いている場合は、可能な限り、指輪を外す心遣いがあっても悪くないと思います…