私がいまお付き合いしている男性二人とも頭髪が薄いです。
第一印象や、性格の良さで好きになっただけなので。髪の毛ほぼ見ていませんでした。
で、一緒に過ごす時間、折に触れて、どちらの男性も、
「髪が薄い俺で本当にいいのか?」
……と言うので、その度に「まったく気にならない」と答えているのですが。どうも信じてもらえていない。疑われているような気がします。
頭髪以外の部分で容姿を褒めても、「いや、俺は髪が薄いから」という否定から入ることが多い。
頭髪が薄いということで、最終的には、全体的な容姿にいまいち自信を持てない、とりあえず否定するしかないような様子。
本人の意思ではどうにもできないことだとしても、それを、一緒に過ごす相手に対しては常に申し訳ないと思っていることがひしひしと伝わってきます。でも、そういう気持ちを伝えられる人は、良く出来た人だと思っています。
私は頭髪の薄さなど気にしていません。大事なのは中身です。嫌いなどなりようがありません。
でも、頭髪が薄いことを定期的に自ら話題にあげてくるのは、それだけ気にしているということなのかもしれない。
こちらとしては見慣れてくると、むしろ髪の毛のフサフサしている男よりも、誤魔化しようなく露骨に伝わってくる男くささがたまらなく魅力的に感じている。
髪のベール越しに伝わってくる印象よりも、髪のベールを脱ぎ捨てて、もう直接にむき出しに伝わってくるすべてが、より近く手ごたえのある交流を生み出しているのです。
顔立ちの良さが真に解るのは、極端に言うなら髪の毛がない状態でのことです。本当に格好良い人は、スキンヘッドにも耐えられる。
髪をだらだら伸ばし、前髪まで拘っている男は、ただ鑑賞するだけでいい。関わると、いい加減であったり、女を大事にせず、髪があることを自慢げに、そして他人に向かって平気で職場などでも「ハゲ!」とか言ってしまうのかもしれない。
失った髪はもう戻ってはこない。そこでメソメソと残った髪を引き摺りまわして四苦八苦するのではなく、そこはむしろ男ならば潔く五分刈りにするかスキンヘッドにするのが格好いい。
頭髪の薄い男の真価が解るのは、その男に実際に大事にされた女だけです。
不思議なもので、頭髪の薄い男性を見慣れていると、髪の量の多い男に違和感を覚えるようになる。
最近特に気になるのは、中年であるのに髪の量が不自然に多めの男達です。髪の毛そんなに蓄えて、もしかして人工的な手を加えているのではないか、などと想像するようになると拒絶反応が出てくるし、自然に量が多いのだとしても、老けてくる顔とミスマッチになってくると、立派な髪だけが不必要に性的な魅力を示してきているように思われてきて、「無いほうがいい」と思うこともある。
私の父の話になりますが、私が小学生の頃、夕方頃に父が仕事から帰宅して風呂上がりに鏡の前でなにやら心配そうにしていたので、そこで髪の薄いことを言ってしまった瞬間に、父が激怒してなんか物凄い怒られた記憶があるのですが、それから母には「お父さんには髪のことは絶対に言われんよ」と注意され続けて、いまだに父の髪のことについては一言も発しないよう気を付け続けているのですが……多分いまでもそれを言ったら怒るだろうと思うので、ヘタこくと絶縁されるかもなので言わないですが。
髪ってそんなに重要なんですね。