heartbreaking.

中年の末路とその記録

薬が欲しいので心療内科に行くことにした。

疲れているのか、今日は無理だなと思ったので……会社を休んでいる。1日休もう……

会社に、今日は無理だということを伝えて休日の許可を得て休んでいる間に、今後どうしたいか考えた。

先月は14時間以上立ちっぱなしで休憩もとらずトイレもほぼいかず、連続で労働を強いられることがあった。

今は落ち着いてきたが、徐々に疲れが精神に悪影響を及ぼしてきて、新人の悪口ばかりを言いふらしている。最悪なのは仕事のとろい新人なのか、それを責めてしまう自分なのか。終始人手不足の社内で自分が浮いてきている感じがする。

精神状態が悪化していると、次第に、普段は許せていた、大目に見ていた些細なことにすらいちいち怒りを感じるようになる。

先輩が仕事の些細な過ちを犯し、その自分がやった過ちの後始末を私にさせようとする意図が見えたので、そこで仕事を放棄し、黙って建物の外に出て20分ほど考え続けた。

会社を取り囲んでいるフェンスを乗り越え、一番高いところから何メートルか下のアスファルトまで飛び降りてみたいと思うことは多い。様々な妄想がだんだん酷くなってきたがこんな自分でも死んだら苦しむ人がいるのでそれがなかなか解放してくれない……

私がいま望んでいることは、私を愛してくれる人達の、死なのだと気付いてしまった時から、誰といても、笑顔でいても、心の中では何処か薄情な人間になってしまった。

解放されたい。でも解放されたからといって自分には何があるというわけでもなく、借金があるだけなのだ。

会社を1日休んで考えたところで何も良い案など浮かばない……ただ仕事を続けるだけだ。二重人格で会社の中では気が弱くて小動物で道化師の自分、だけどプライドは高くて間違ったことは絶対許せなくて本当は社内のあいつもこいつもどいつもこいつも私の邪魔ばかりしやがってブチ殺してやると思っている自分、そして、そのうちストレスでフェンスを乗り越えてしまう自分……よりは心療内科に電話しようと思った。

心療内科に電話予約をした。それは簡単なことなんだが、何故いままでしなかったのかと、なんの拘りだったのか、とりあえず今の自分をなんとか保てているのは、その予約日に必ず病院に行き、薬をもらってくることなんだが、そうすることで会社にとりあえず行けるかな……

薬をくれるところなら何処でもいい。

私は病気だ……ということにしたほうがラクだ。

嗚呼、なんでこんなおかしな中年になってしまったのか、だからといって私の奇行を冗談のように馬鹿にしてくる奴らは許せない。

キラキラしたものは、ずっとキラキラしていなくて、残酷なものや汚物まみれの感情はいつまでもこの頭にこびりついて、あの、太陽のあたたかい光の中、遊ぶ時だけキラキラはしゃいでいた子供の頃の自分に教えてあげたい。

この中年の現状を未来に見てしまう時点で希望もなくなる、そんな人生を歩んできた。なりたい未来でもなかったし、なりたい人でもなかった。

人を羨み、日々絶望を感じながら、非正規で過酷な肉体労働(重量物も扱う)をし、ただ……部屋の中でゲームをするだけが唯一の楽しみの借金まみれの中年に辿り着くために、生きてきた。何処で誰かに捻じ曲げられ、痛みを感じた、そんな過程のことなど、努力を続けていても失敗作のままの人間にとってはなんの糧にもなりはしない、ただ苦しみだけを与え続けて、出口のない闇の中を彷徨い続け生き続けていても、こんな大人になってしまう。なりたい未来でもなかったし、なりたい人でもなかった。それでも死ねなくなって無様にしがみつく前に、綺麗なうちに消えてしまえていたらこんな汚物はいまここに存在していなかった。

歳をとると諦めることが増えてくる。

輝く風景を、誰かを許したわけでも、過去に縛られることから解放されたわけでもない。

それは怒りや悲しみがカタチを変えただけで、それがこの世界の常識すら怨んでいる。

残酷な天使たちはこの背中で衰えつつある羽すらも何千回、何憶回も残酷に無邪気な笑顔のナイフで斬り刻んで二度と私が飛べなくなるまで、この命が消えるまで苦しめることをけしてやめない。

今はただ、生きることって、こんなにつらいことなの?って、子供みたいに問いたい。