heartbreaking.

中年の末路とその記録

別れることを諦めよう……

私が一人でうさぎ島に旅に出ていた間、彼氏に連絡しなかった。毎日電話する約束してたけど、旅に集中したかったので1日くらい放っておいてどうってことないと軽く考えていたけど、たった1日電話しなかっただけで、なんか相当面倒くさいことになっていた。彼氏が私の身に何か起きたのではないかと心配して家まで来ていたのだ。私は旅の運転疲れで起きれなかったので、無視していたんだけど、電話がかかってきたので、しんどいなあと思いながらでると、なんかスゲー不機嫌な言い方されたんで、あーもう別れようかなあと思ってそういう話したら「お前電話で別れ話するのは失礼やぞ」とキレられて妙に説教臭かったんで、とりあえず部屋に来てもらって話することにしたんだけど、「お前電話も出んで、(今心療内科で薬なんか飲んでるので余計に)なんかあったんかと思ったぞ」と言われたので、毒ガスを製造してた島に一人で行ってたと言ったら「お前、連絡ないから俺がこんだけ心配しとるのに、その間お前は旅行に行っとんたんか?」と言われて、結婚してもないのに私が有給期間中に何処行こうと勝手だろと思ってムカついてたらその後色々説教臭いこと言われたんで、なんであんたに説教されなあかんのや、と思ってもう無理だなと思った。もう説教されるのは嫌だ。説教されると自分に自信がなくなってくる。年内に別れよう。もう絶対無理だと思っていたのでクリスマスに彼氏が来ても勿論プレゼントも渡さないしなにもしない。ピンポーン、はい(ガチャ)「おう、これケーキとジュースな。あとこれプレゼント」と言いながら笑顔で入ってくるけど、絶対別れるつもりだったし、昨日スゲーヤクザな威圧感で私を凹ましてきたから二度と心を許すもんかと思って笑いもせず淡々と短く返すだけにしたら、「どしたんぞ。ほれ、ケーキ買ってきたぞ」「お前にプレゼントや(中身全部煙草がぎっしり)」「昨日は悪かったな」「なんでそんな機嫌悪いんぞ」とか言ってずっと笑顔でいるけど、こっちは暗い顔のまま、別れようと思っていることと、性欲がなくなっているので(彼氏相手には)そういうことをするのは無理になってきている、私は子供を産めない年齢に達しているのであなたを幸せにしてあげることはできない、若い女の子と子供でも作って家庭を築いて幸せになってほしいと暗いトーンで伝えると、「お前なにか勘違いしてるぞ、俺はそれが目的でお前と付き合ってるわけじゃない。お前といることで俺が子供も作れなくて家庭も築けないからかわいそうだと言っていたけど俺はそんなこと気にしてない、一緒におれたらそれでええ」「お前はそのままでええんや」「いま仕事を辞めたところで不安定になっとるんや、ピザでも食ったら治るかもしれんぞ」……性欲ないって言ったら別れてくれるかなと思ってたのに。うつむいて黙っていたら「お前、俺のことがもう嫌になってきたんか。俺はストーカーじゃないからお前が嫌ならスッと離れるけど、お前が俺のことを嫌いになってないならいままで通り仲良くしようや。な?仲直り!」右手をこちらに差し出してきて握手を求めてくるので、これでいいのか?と迷ったが、とりあえず握手して、これまで通りの関係を続けることにした。完全に自由になりたかったので終わらせたかったのだけどより抜け出しにくいところにはまりこんでしまった。もう諦めるか……「こっちこい、よーしよしよし、仲直り!」と言いながら嬉しそうにくっついてくるので、なんでこの人は今までの男たちのように離れてくれないのだろう、何度でも戻ってくるのだろう、私のために必ず最後に謝ってくれるのだろう、優しくしてくれるのだろうって思ったら涙が出てきて、しばらく背を向けて泣いていたら「お前、どうしたんぞ」「どうしたんぞ」って声が後ろから聞こえてくる。なんか、色々面倒くさいと思っていたけど、でも面倒くさいことをしてくれる人ってそれだけ本気で心配してくれている証拠なのかもしれない。今までの男はこんなに必死に追いかけてはきてくれなかったのに、私のなにがこの人をここまでさせるんだろうって思いつつ、せっかくクリスマスだから手作りハンバーグ作ってあげたらそれをお皿の上にデミグラスソースまで綺麗に食べつくして「うまかった」と嬉しそうにしている。「お前のお父さんお母さんに今年もおせち料理注文しているから今年も持って行ってあげてくれな」「親は大事にしろよ、たまにはお母さんに逢いに行ってやれよ」私の両親のことまでいつも心配してくれている。それは彼氏のお母さんが今認知症を患っていて施設に入れていることで彼自身が昔刑務所に長く入っていることで親を悲しませた後悔から出てきている言葉なのかもしれない。彼がようやく出所した後に待ち構えていたのは、認知症になってしまったお母さんを介護するという現実だった。等級が上がって今は施設に入れているようだけど。彼は前科があるので、なかなか普通の会社に勤めることができないので、今バイトをしているけれど、稼ぎはよくないのに3年近く付き合っている間に私の母が脚が悪いことを伝えると電動自転車を「これでお母さんが少しでもラクになるだろう」とプレゼントしてくれた。貯金があるのかないのか知らないけど「女に金を出さすわけにはいかない」と、いつも外食では奢ってくれる。食事の時には必ず私の分の箸をとってくれて、コンビニで買った弁当を二人で食べる時も私の分の箸を袋から出してくれて、おしぼりも袋から出してくれる。遊びに来る時はコーヒーを買ってきてくれるし、休日はたまにカレーやシチューなど手料理を私のために作って持ってきてくれる。「美味いか?よかった」と言いながら嬉しそうにしているし、私の家の台所で手料理を作るときに台所に立つ彼の横顔を見てみると、まるで、大好きな人のために料理を作るのが幸せって感じの穏やかな顔をしている、信じられないような気持ちでいつも見ていたけど、色々思い出すと彼ってほんとに私のこと好きなんだ。なんかごめんね、こんなに人に好きになられたことないので、どう接したらいいのかわからなくて、いつも抱きしめてあげることができないでいるけど、一緒にいることで彼が幸せだと思ってくれるならそれでいいかな……