今日は待望の給料日だ、どれローソンATMで最後のプロミス返済をっと、おおっとーお、なんて日だ、ATMの横で立ち読みしているやつがいる…いつまでいるんだテメエは、俺がここに立ったらテメエが消える番だ、まだいるのかー見るんじゃねえぞ、この羞恥心も今日でオサラバだ。
出稼ぎに来る前はざっくりプロミス80万ギリギリいっぱいまで・おまとめローン110万・リボ払い100万・分割払い10万でトータル300万ほどありました。300万の借金は多いのか少ないのか？多いしつらいです。
この中のどれから返すか。悩むまでもない、まずはプロミスから。
プロミスを0円にしてその次リボ払い、最後おまとめローンの順で。おまとめローンは返すだけで再利用できないので貯金ができてから返せばよい。
プロミスに月10万～15万ずつ返済していましたが、食費はケチらず、煙草も吸うしコーヒーも飲む。故郷へ老いた親の様子を確認にも戻るのでガソリン代高速代がかかり返済が10万以下の月もあった。
借金を返すため単純に稼ぎを増やすしかない。中小企業で頑張るのもいいけどそれでは何年経っても利息を返すばかりの日々に追われ、若い時間が終わってしまう。
短期決戦しかないだろう。1年でも2年でも若いうちに！派遣会社を通し大企業に入れてもらうしかない、派遣でしか叩きだせない高時給で上手く返せるかもしれない。
そして…パンパカパーン！ 一人でスーパーのケーキでも食って「ひとまず、プロミスを終わらす第一ミッションは無事クリア、おめでとう」
給料が良いおかげで先月でプロミスが終了。これくらいで終わるだろって額をローソンATMに突っ込んでみたおつりの1,257円は手続きすればあとで口座に振り込んでもらえます。
80万の借金を8カ月で返したことになる。
そして返した80万は困った時にいつでも借りれるよう解約せず置いておけばヨシ。懲りたので借りることはないだろうが安心感って必要。貯金もない中年の心の拠り所がプロミスの枠しかねえのは悲しすぎるが、次はリボ払いにとりかかりますか。
残り210～220万なので、どうにかなるだろ、あんま深く考ないでいこう。
会社に対する感謝の思いは尽きることはない。命の恩人でもある。
あとは契約が続く限り…もし契約が終わったらまた次の可能性にチャレンジするしかない。いつでもその時はじまる可能性を信じて進もう。
借金の理由は自分の性格に問題あるためで、人間関係上手く行かずその度に無職になり借金は急ピッチに増えて行った。パチンコもしないブランド品も興味ないのに生活費と家賃でこんなに…こんなにも人は追い詰められるものなのか。セブンの揚げ鶏をルート集配の仕事の合間に食いまくってたのもいけなかった。楽天カードがいけないんだ、それにコンビニ店員に言っておくが華麗に楽天カードを出す俺は貧乏だ。こんな人間に頭下げなくていいよ。
去年の暮れ―
手取り10万前後しかねえ集配業務にかなりムカついていた。上司に「借金300万あるので100万の祝い金もらえる愛知県に行きます」と伝えると社内が「この人騙されてるよ」とザワついていた。引き留める人もいたし、フフッこの人失敗するよと笑っている人もいた。お前らの思い通りにいくと思うなよ、俺のメンタルはとても頑丈に出来ている。こんな時は優里のピーターパンの気分だ「こっち指差して笑ってんだろ 好きに笑えよそれで別にいいさ」いつか故郷にイカしてる車に乗ってお前らに見せつけるように凱旋してやる。いつか・な。
当時アイシンで祝い金100万の求人出ていた（今も出てる）俺みたいに借金300万ある人間はこのウェーブに乗るしかないとウェブ面接を予約したが寝坊して5分遅れで入室。5分でスーツ着替えたけど面接官が不機嫌で終わったと思った。忘れた頃にお祈り書面が届いていた。そのあと複数の派遣会社に完全にシカトされたけど諦めず手あたり次第登録しまくった。
もうどこでもいい、雇ってくれるとこで手取り20万ほどあればそれで行っちゃえばＥ～んじゃね？って感じで奇跡的にいまの派遣会社に拾ってもらい出稼ぎに来た。よくこんな中年雇ってくれたよなあ、これは会社に足向けて眠れないぜ。
さあ今日は出発の日だ。
夕方から荷物を軽自動車へ積み込み作業を始め終わったのは0時頃だった。部屋と車を行ったり来たり…ローン途中のゲーミングPCは助手席に固定（当時7万で売れたがローン残高7万なのでノート買替えは諦めた）、靴は結構重要なので隙間に入れる。衣類もなにもかもごみ袋にぶち込んで、一回で引越しを軽自動車で一人で終わらせるのだ。
もうすぐ13年落ちの軽自動車の天井近くまで家財道具をギュウギュウに詰め込んで（タイヤの様子をチェック）音楽かけて深夜に出発だ～サラバ我が故郷よ。10年暮らした賃貸も後ろに遠ざかってく。俺はこの呪われた地に苦しめられてきたので今はお前らには関わりたくない、だが親がいる限りいつか戻ってくる。
前へ、前へ…
人生は前へ進むのみ。深夜の下道は信号が点滅が多くほぼノンストップで。高速で楽天ETCカードで利用しコーヒー飲み過ぎて尿意も止められないままに長時間ドライブして日が昇る前に新天地に到着。
新しい土地、初めまして。日が昇る前の街の明かりがきらめく星になって胸が熱い、その時ちょうど Every Little ThingのFuture Worldがかかっていた。「新しい世界へ走り出そう」ハンドル握るこの手から胸に滾り寄せる情熱を忘れることはない… 故郷から出たの中年になって初めてだったから本当の意味で一歩踏み出せた「よくこんなとこまで来たな」と車の中で自分の勇気を称えていた。
どこだ俺の寮は見知らぬ田舎道を彷徨いながら到着。お、驚いた、派遣の用意する寮にあまり期待してなかったがなんて綺麗な寮なんだ。お城のようにも見える。さあて無料の寮に入るぜ～、なななんだここはウォークインクローゼットがありトイレにウォシュレットが付いていて、こ、これは俺は騙されてるのか？いーや奇跡じゃねえと冷静になり、えっちらおっちらと軽自動車から荷物を部屋に移動させ、そしてカーテンもない広いリビングで疲れ果て大きな窓から見える外の景色を見ていた。
新しい世界。こんな遠くまで来てしまった（自分的には遠い）。ひとりぼっちだ。これはちょっと来た旅行じゃない、しばらく暮らしてゆくのだ。「もし、上手くいかなかったら…」そんなこと、いまは考えてはいけない。出稼ぎに来る人誰もがこんな想いを新しい窓から感じているなんて、もっと遠いとこから来ている人はもっとだろう！
床の上で少し寝ている間にちょっとだけ涙が出ていた。中年になってなにしているの、父も母もいつ死んでもおかしくないような年齢なのに何かあったらどうするんだ…だけど心配をかけず、お金を稼ぐことが一番の親孝行だと信じてる。あと2、3年持ってくれよ親の命。もし間に合わなかったらその時はわーわー泣いたりせずに諦めよう…そこはクールにいかなきゃ駄目だ、いまだってそう。
スマホアラーム鳴ってフアーッと、ここは？あー本当に来てしまったんだ…と思いながら起きて荷物を整理したら、新しい土地をまわってみるかと軽快に車で走り出すが想像以上に田舎で田んぼと山と川しかない。でも自然が豊かなほうがいいじゃないか、今日からここが俺のやり直せる場所だ。よろしく。
今日からここで頑張るよ、どんなにつらいことが起きても耐えて笑顔で故郷へ帰れたら素敵だね… 契約が切れたらそこでお終いの夢だけど…
とにかく仕事をひたすらに真面目に頑張るだけだ。
色々失敗して生きてきたので、誰も自分のことを知らないということが助かった。けして邪魔はされたくない未来に、誰にも！爪の先たりとも傷付けられたくなんかないんだ。胡散臭い過去は消しゴムでほとんど見えないほどに消せるから、何処へ行くにも無干渉で自由だ。故郷では何処へ行っても知り合いが潜んでいるようで疑いを抱えたまま生活していた。そんな地獄に戻るのは借金返してからでないとどうにも無理。
そして土地が異なるだけで人の性格は全然違う。
ネットの情報はあまりアテにはならない。悪い情報を書き込まれている土地であっても、実際暮らしてみると自分に合っていることがある。それは豊かな自然であったり、そこらのスーパーやコンビニの店員の様子にもありありと見てとれる。これがもう少し長く暮らせばいつか飽きる時が来るかもだけど今はまだ微塵も感じない。そこで暮らしてみることによってどんどん新しい自分が見つかってく。新たな土地に行けさえすれば、いつからだって変わることはできる。
大事なのは手に入れた新しい自分をけして手放さず、過去の自分には戻らないこと。
