heartbreaking.

中年の末路とその記録

お前なんか、俺以下の苦しみで……

自分の性格的な問題で思い悩んで、とうとう仕事を辞めてしまった。俺が昼間からチューハイ飲みながらだらだら過ごしてるからって、別に楽しいわけじゃない。部屋を暗くして、昨日はカジノロワイヤルを観てた。

頭の片隅は不安だらけで、こんなので生きてゆけるのかなって思うとき、誰かに、そんなので良く生きてこれたねって言われたことを思い出して余計不安になる。そういうこと言う人は、自分がしっかり生きてきたと思っているから、そうでない俺みたいな不安定なのを見ると、思ったままを口にするのかもしれないけど、はっきり言って、かなり傷付く。

俺がこうなるのには、俺なりの理由がある。わかっているのは自分だけなので、誰にも、この生き方や、今の状況を否定されたくない。

俺は、不安を直視しすぎないように、あえて目をそらし続けることで、なんとかここまで生きてこれた。

だから誰かに、俺のことを心配されすぎると、不安になる。俺は大丈夫だって思いながら生きているのに、この状況が大丈夫じゃない、と誰かに言われてしまうと、現実の冷たさに心が押しつぶされそうになる。

例えば精神科に行ったほうがいいとか、俺の能力は俺が思っているほど高くない(だから仕事が上手くいかない) とか、変わってるねとか、……今まで、普通であろうと努力を続けてきた俺そのものを否定するようなことを会社や友人たちに言われ続けてきた。

本当は誰かに救い出して欲しい。救ってくれるのなら、それが悪人でも構わないほどの窮地の中で、頭の中を怨念が渦巻いている。そんな心理状態でネットを見れば、俺より大したことなさそうな、くだらねえ悩みしかないんじゃねえかと思うようなやつらが、俺より救われている。

そういうの見ると、死にたくなる。そいつらは俺より努力したのか。……いや、そんなことどうでもいい。

俺以下の苦しみ程度で旦那の世話になりながら精神科で薬貰って病気のふりしてラクして生きようとするくだらねえどっかの嫁の戯言や、叩き潰されて殺されるほどの恐怖など味わったこともねえくせに同意の上で男にあってセックスをしたらそれがレイプだとかわめいてるようなやつらとか、手足がついてるくせに障がい者ぶってるやつ、老人でもねえのに生活保護受けてる若いやつ、全部ふざけてる。生きてる価値もねえような、糞以下のやつらを、俺と同じ絶望の中に放り込んでやりたい。

俺が納得できる理由がそいつらの中には見つからないから、否定するしかできなくて、自分の心が真っ黒に塗りつぶされてくようで、俺が穢れてゆくのに、そいつらは綺麗なままで、その権利をすべて得るのは俺のはずなのに、それを奪い取って、さらにその満たされた環境の中で、何か、どうでもいいようなことばかりをわめいている。

本当の苦しみや悲しみがどんなものか教えてやろうか。それは誰にも救いを求められない暗闇の中でずっと這いつくばって、叩き潰された過去の絶望の渦巻く中で生き続けなければならない人間だよ。

自分の不幸を語るときだけ妙に饒舌かつ器用な人間や、知性を自分の不幸を語ることに全力で注ぎこんで権利を主張するタイプの人間共が苦手だ。

仕事を転々としていることについてもあまり他人にとやかく注意されたくない。自分では仕事が続かない原因はわかっている。わかっていても、どうにもならないのは、俺が、口先だけの精神病患者じゃなく、本物の精神病患者だからだ。俺は社会に出ちゃいけない部類の人間だ。扶養範囲内でラクして生きてる主婦や専業主婦や生活保護のやつらよりも俺のほうがよっぽど苦労して生きているのに、何故救われない。

親は、会う度に、こんな俺を心配して、こちらが注意するまで、延々と仕事についての話を繰り返す。仕舞には、仕事が見つからないのなら知り合いに頼んでやろうかと言ってくるのだが、そういうのもつらいから、最後には、これ以上追い詰めるのはやめて欲しいと伝えて話を遮断した。

ただ黙っていてくれたら、それが俺にとっての一番の救いになる。

俺は大丈夫だし、まだ何とかやっていける……現実から目をそらし続けながら。