heartbreaking.

中年の末路とその記録

オービスの赤い光を浴びた後で警察から逃げるために左折した先で田んぼ道に脱輪しかけました。

仕事帰りに国道で、オービスのHシステムの赤い光を浴びたので、その日は立ち直れそうになく、出勤時刻ギリギリまで寝ていた。

俺の顔は何故か呪いでぼやけていてしかも霊が助手席に映っているとか、俺のナンバープレートにだけ心霊現象が起きていたとか、そういうのに期待しつつ……いや、これは気休めだよ(苦笑)

ツライと思う時は、その悩みを保留にして、とりあえず眠ることにしている。

勿論、仕事には行かなければならないけれど、働いている間は、気が紛れる。それが罰金を払うための労働だとしてもな……

警察からの通知はまだ届いてないので、とりあえず会社に車通勤は出来ているが、不安だ……1カ月の免停で済むのなら、講習受けて実質1日のみの免停で済む。

いくら考えても仕方がない。今は、罰金を支払う体力を蓄えるしかないと諦めることにした。

どんな光かというと、以下のサイトの加工画像を見てもらえばわかる。明らかに自分が違反者だとわかる、非現実的な赤い光と共に、トスッ!という低音が聞こえた気がした。

オービスに撮影されるとこうなります。

スピードは100キロ以上出していたような気がする。

スピード違反は上限が12点までしか付かないので、前歴がない場合、免取にはならないようだが、10万以下の罰金を払うことになる。

俺には借金しかないのだが、警察に言い訳は通用しない。

人を殺す犯罪者は、精神障害を持つと判断されれば、刑が軽くなるのに、スピード違反者には一切例外はなしということか……何のためにそんなに厳しく取り締まろうとするのかがわからない。

昼間の国道を走っていると、制限速度オーバーしなければ、明らかに後続車の妨げになるので、制限速度自体が人々の生活の利便性に見合っていないことも考えられる。煽ったり、煽られたり、かなり精神衛生上良くない状態になっている。そんな中で魔が差して、いつもよりアクセル踏み込んだら、運が悪ければ終わりだ。

赤い光を浴びた瞬間に、スピード違反を撮られたと自覚したので、オービス通り越した先ですぐに左折した。Hシステムで証拠は撮られているのに、その時は気が動転していて警察から逃れることしか頭になかった。

事前に速度警告版はあるので頭の片隅にはあったが、今まで何事もなく通過していたので、今日は光ったな……という感じだった。

左折すると田んぼの中にある細い道に迷い込んだ格好になった。トラクター一台通るので精一杯という感じだったが、夜明け前の薄暗さもあり、その先はどうなっているのか不明だった。かなり焦っていたので、車輪が田んぼの中へと何割か脱輪しかけていて、そこで国道へ引き返さなければヤバイと感じるようになった。それ以上進むのをやめて、一旦停止した後で、Nにしたままアクセル踏んでいて、進まないことに一瞬ギクッとしたが、ここは車が走っていい道なのか?なんなのだ進めば進むほど道が狭くなる、罠か?これ以上進んだら俺は、こんな細い道を後退することもできず、ここで夜が明けるまで途方に暮れることになる。嗚呼、国道のほうを眺めるとキラキラとしていて懐かしい……なんて感慨に浸ってる場合じゃない。もうナンダカナ俺、もうナンナンダヨこれ、もうこんなんだよ俺の歌と似たような独り言を繰り返していたかもな。帰宅して寝たらまた会社行かなければならないのに、馬鹿だな。

そこで車を降りて、田んぼ道がどうなってるのかよく見てみると、すぐ近くにY字になってるところがあって、そこでなんとか引き返せると思い、ちょっとハンドル切る度に車を降りて脱輪してないか確認しつつ、ようやく田んぼ道の中から脱出し、国道に戻ることが出来た。時間にすると大したことなくて、5分か10分の話だけど、はっしー焦ったなあ。そこから何故か自分の家に向かわず、一旦会社の手前までフラフラと戻った。まったく知らない道を隠れながら走りたいので、スタート地点からやり直すことにしようと思った。

帰宅するまでは、警察の車を恐れ、普段通らない道を走っていた。警察から逃げれるなら、県外まで走っていても構わないような不思議な感覚だった。方向もわからなくなり、交差点の案内標識を見ても自分の勘のほうを信じて、闇雲に走り回った。そのうち全然用事のない町に入っていた。俺の家とは完全に逆方向。

そんなんで、仕事帰りに余計に1時間余り、束の間の逃亡をやりこなした気分で、ようやく家に着き、ヤケに疲れたと思いながら、シャワー浴びて出てきて、ガックリしていた。

仕事に慣れてきて、稼げると思った矢先に、魔がさして、やってしまった……金があるなら罰金くらい払ってやるが、俺には金がない。あるのは借金だけだ。だが警察にそんな理由は通らない。

光を浴びた当日は、大げさだと思うが、俺はもう終わりなのかと思い詰めていた。

警察は、庶民のギリギリの生活を、知らないのか。車に乗るのは娯楽のためだけじゃなく、生きるために欠かせない通勤手段なので、奪われれば職を失う。皆が駅に近い職場に通うわけでもない。

はっきり言って俺は、警察の野郎共よりも長時間働いてる。お前らが帰宅して温かな家庭に、子供たちに囲まれてる間も、俺は独りだ。

仕事帰りにコンビニで美味いもん買ってそれを食うだけが楽しみの俺を苦しめるのか。

警察が、金の無くて借金しかない俺を、自殺へと追い込む縄を用意したのだと思い込んだまま、当日は悔しさと怒りでどうにかなってしまいそうだった。

たった一度の違反で高額の罰金を、分割ではなく、現金で一括払いしか受け付けないのは何故なんだ。

分割払いに出来ないのは何故だ。分割払いでも反省はする、それでいいだろうに、庶民の心を信用してないのか。俺は約束は守る。

俺にあるのは楽天カードだけだ。

コンビニ振込用紙送ってくれたらなんとかカードで払うんだが。家賃滞納しても、光熱費滞納しても、それを出来ているのに、たった一度の過ちで、飲酒運転したわけでも、人を撥ねたわけでもねえのに、現金一括払いしろというのか。

闇金にでも金借りてでも罰金払えというのか。

金のない人間に、どうしろというのだ。

腹立つが、警察からの通知がくるまでは不安な思いをしながら、制限速度厳守で走るしかない。俺を煽る車がいても、もう懲りたので飛ばさないが、あんまり俺を馬鹿にする車がいると、お前後でどうなるか覚えていろよ……という気分でもある。だから赤い光を浴びた後の俺は、運転中いつも気が立っている。

つか、免停喰らったら俺はどうやって通勤するのだ。電車通勤するとしても、会社から駅までの距離が果てしなく遠い。働いてクタクタの足で遠くにある駅まで歩いて行けというのか……タクシーで通勤すればタクシー代のためだけに、免停中は働くことになる。

仕事を出来なくさせて、それで罰金払えというのか?人から仕事奪っておいて、罰金払えというのは無茶苦茶な話だろう。

二度目以降、赤い光を浴びないよう気を付ければ、それでいいんじゃないか。普通は一度あの光を浴びたら懲りる。

俺は気付いたよ。ただ、スピード出すだけなら、アクセル踏めばいいだけなので誰でも出来ることなんだ。

だが、それをやらない人が、何故そんな簡単なことをしないのか?ということを考えてみると、むしろ制限速度守って走ってる人のほうが格好いいと思うようになってきた。

飛ばすやつは、馬鹿だ。過去の俺も馬鹿だった。そのことは認める。

俺も今後は制限速度守って走るから、俺の免停はなしにしてもらえないか。無理なら、霊現象に期待するしかない。心霊写真とかあるくらいだから、あり得ないこともないだろう。

俺みたいに不幸な人生歩んできた人間から、金をもぎとって、そんな金で支払われる給料で自分たちは生活するつもりなのか。

俺はまだ相談出来る人がいるから精神的に立ち直りつつあるが、誰にも相談出来ず自殺した人もいるんじゃないか?特に金のない違反者には要注意だよ。

まあ色々言ったが、俺は制限速度は今後は守る。

何度も言うが、一度の過ちなら誰でもある。大事なのは二度目以降を繰り返さないことだ。まあ直接スピード違反を捕まえられたら流石に俺もその場で観念するけど、そうじゃない。

俺の命を奪うのか。まあ金額にもよる。いきなり10万を現金ですぐに払えと言われても、俺はたちまち生活出来なくなるので、やはり首を括るしかなくなる。

そういう人、多いんじゃないかなあ……けして、大げさではなく。

続き(2017-09-18)