heartbreaking.

中年の末路とその記録

中出しを拒絶しながら私の遺伝子を貴方で終わらせるつもりか。

恋人と休日に必ず会いたいとは思わない……適度に離れている時間も必要だ。じゃなけりゃ、どんなんでも飽きるから!

昨日は6時間、恋人と過ごしていたので、やりたいこともろくに出来ずに諦めて残りの時間は寝るしかなかった。

なんでか、恋人に対する情熱が以前ほどではない。

子供を作らない、中出しを拒否されたセックスが、私の心を空洞にさせる。

彼の欲望を満たすためだけのセックスが多い。特にここ数か月、セックス中に私がイくための動きは完全にストップさせられている。何故かと言うと、私が自由に動きすぎると中出しになるから、「ストップ!」って言われる。そんなことが幾度となくあって、今ではストップを言われるまでもなく私は意思を捨てた人形となり果てた。

二人に経済的・精神的余裕がない現実があることにこれ以上気付きたくない。私には自由が許されていないように感じるセックスが、精神的な浮気をしたくなる原因かもしれない。

夢ばかり語るのも虚しく、現実ばかり見てもつまらない、先行きが暗礁に乗り上げたように思える中年男女がただセックスだけをしていても仕方ない……

たまには私がイけるように、上に乗らせてくれたならこの先も一緒にいられるかもしれないが、それでは子供が出来るかもしれないので困るから俺の欲望を満たしてお前はこれ以上勝手に何もするな、という主張を暗に貫くのなら私はいつか離れてゆくしかない。

テレビを観てつまらない愚痴を繰り返しながら生きるしかない悲しみを、まるで鏡を見ているように感じているのは、中出しをしないセックスが何の意味を持つのかということから目を逸らし続けるしかいまのところすべがない自分が、この先の残り半分近くあるかもしれない人生を決定付けようとしているからで、この体も精神も相手を喜ばせることをしながら、少しずつ救いのない沼へ嵌り込んでゆく悲しみも感じ続けている。

休日に恋人といくら会話をしてもそれは広がりのない、やがて一本の棒みたいな単調な作業というか繰り返しになってくる。あ、その話以前聞いたよね、何度言ってるの的なことが互いに増えてきたと思う。

この世界にどれだけの人間がいると思っている。それを一人に縛られようとするなんて勿体ない、時間の無駄を多く作り出している……

恋人という関係だけで相手の時間を拘束するのは難しいよ。そうしたいのならばまず必要なのは、自分の子孫を残すことだ……それが出来ぬのならせめて教養を身に付けることが必須だろう、そのためには離れて互いに学ぶべきことは山積みなはずで、遊んでいる暇は実はない。

私の中に徐々に広がってゆく子孫を残せぬ深淵の中、中出しを拒絶するセックスを繰り返すことは意味がない。

貴方が、私の遺伝子を終わらせるのか。

そしてこの顔が醜く老いた時、大勢の笑顔が私の人生を踏みつぶすだろう。

私が子供を産めるかどうかの最終判断をするのは貴方だということを、無理やりねじ伏せてでも、中出しを拒否したセックスを繰り返すのなら、私は他の種を得るために行動するしかない。結果は同じでも、可能性を見失わないでいられる行動が必要だ……私はそれほどに子孫を残すことを密やかに執着していて、子連れを批判し続けるのは、私にとってはそこが人生で一番光の当たるところに見えているからだ。子供を産んだ時が最も光り輝いているんだよ……

貴方は、子供を望ないセックスを繰り返し、私の感じている孤独が実体化してしまう前に、いつか目の前から音もたてず消えてゆくかもしれない。私はまだあと数年は諦めたくないと、本心では思っている。私が子供を産める可能性を踏み潰そうとする男は誰であろうと絶対に許すつもりはない。