heartbreaking.

中年の末路とその記録

自堕落な生活を送っているといつか病んで家族を傷つけだす

以下は健在な両親を持つのに、未だに定職に就けず気苦労ばかりかけている高齢独身の話です。

昨日夜11時に起きてビールを飲んで、不規則な生活で頭痛がするまま実家に立ち寄ると、あることが原因で「お前はぼーっとしとる、そんなんでどうするんぞ」と父に注意されたのでムカついて数々の泣き言を連ねてしまい、帰りに軽く後悔した。

「誰も私のつらい過去の話を聞いてくれない」「そろそろ人生終わりにしたいと思っている」「なんで生まれてきてしまったのかとおもっている」というようなことを言うと、それまで口をヘの字にして仏頂面だった父が急に「そんな悲しいことを言うな」と苦笑いし「お前が苦労して生きてきたことは口には出さないが、痛いほどよくわかっている。だからもう少し頑張ってみたらどうだ」と最後はなんか励まされた。

帰り際、父は「今度来るときは、もう少しニコニコして元気そうにして来るんだぞ(^^)」とだけ言った。父に懐いている金魚たちがパクパクと口を開いて水を飛ばしまくっていた。 車を発進する時、ミラーを見ると、いつまでもこちらを見ている母の姿が映っていた。

「本当ならお前がお父さんを励ましてくれないといけないんだぞ。だから頑張れ」そう言われたことがなんだか悲しい。

なんで生まれてきてしまったのか、という問いは晴れぬまま、初めて弱音を吐いてしまった重苦しい事実が襲い掛かってきた。車の中でLinkin Park「Breaking The Habit」の淡々とした音の中に涙と鼻水が出てきた。なんであんなこと言ってしまったんだろう……いつもの景色が涙でぼんやり滲んでいた。

少し前に実家に寄った時に父はこう言った。「お前はお父さんの最後を看取ってくれないかんのだぞ(^^)」と。その時からそれは私の使命になった。私が生きねばならない理由の一つだとおもった。父が戦いに負けた姿は子供の頃から一度も見たことがなかった。この世で一番賢くて強い人だとおもっている。だから「ぼーっとしている」と、尊敬している父に言われたことが、仏頂面も相俟って腹が立ってしまった。

「なんでこんなにつらいことばかりなんだろう」と夜、父の心が弱っている時があることを母が教えてくれた。

いつも家族のために戦ってきた父の不安は定職に就かずフラフラしてる私にある。

親子は何処かで互いの足を引っ張っている。親の側は体裁を保つため子がどういう職に就いているかだったり、私は親が健在であるため生活保護を受けることがままならないことにある。私には社会で真っ当に働けるほどの能力はないとおもっている。行き詰まった時、私の心の支えはいつか親の持ち家に住めて家賃も払わずに済む、少ないながらその時お金も手に入るだろう、それで将来は自分の借金を返そうと考えている。私はもう50が近いのにいまだに人によく騙される。確かにぼーっとしている。その時も父が飛んできて助けてくれる、その安心感に甘える時だけしょっちゅう実家に顔を出す都合のいい子供だ。

もうお前の将来のことを考えたくない、解放してくれと父は睡眠薬を飲みながら毎夜私のことを考えている。私が間違っている時でも父は戦ってくれた、だから疲れたのかもしれない。定職に就かずフラフラするばかりの頼りない私が父の最大の苦しみで、父に恥をかかせることが私の苦しみ、でも互いに死んでくれとは言えない。

だから「今度来るときは、笑顔で来るんだぞ(^^)」と父は言った。その瞳は、私の自殺したい願望を遠く見通しているようだった。

帰って酒を飲んでいつもより多く煙草を吸った。私が定職に就いて稼いでいないからこうなる。皆を苦しめているじゃないか……なにも、できない。介護する金も葬式代すら出せないから、親はそれを見越して自分らで貯めている。「子孝行だよ」と言って。ここ一年ほどはどうしても仕事がないのでとりあえず人に蔑まれる仕事をしていたことも父を悲しませた。だけど私はもうそれしか出来なくなっている。

酒や煙草を飲み自分を誤魔化すにも飽いてきた。いつか真っ当に働くという姿勢を見せながら、そんな気などなく暗いことばかり考えている。もう少し休んだらまた隠れて、父を悲しませる仕事をして生きてゆくんだろうな。